大学病院部長が日本を斬る・・・・・・の?

医療問題を中心に様々な問題について考えてみたいと思います。

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割り箸事故:耳鼻科教授の回顧録

以前もこの件については書いていますので参照ください
http://blogs.yahoo.co.jp/koredeiino345/21112220.html

これは割り箸を咥えて転んだ子供がその割り箸による
外傷により死亡した。その時に救急車で運ばれた先が
杏林大学の救急外来だった。そこで診察をした耳鼻科医が
逮捕起訴されたというものです


医者は全員身も凍る思いをしました
これを契機に救急撤退が始まり大きな社会問題になりました

今回はこの時の主任教授で逮捕された医師の上司でもあった
耳鼻科の元主任教授の回顧録、当時の想いです

基本的には抑制の効いた、僕は概ね賛成できる内容です
以下教授の想いです



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

「割りばし事件」に対する報道はペンの暴力


裁判所の判断を軽視して法治国家といえるのか
杏林大学耳鼻咽喉科学教室前教授


 私が杏林大耳鼻咽喉科教授だった時の教え子が刑事責任を問われた裁判で、2008年11月、東京高等裁判所は教え子の過失を認めず無罪判決を出しました。民事裁判においても過失なしとの判決を下しました。刑事および民事の両裁判で、東京高裁が正しい判断を示したことに対して、関係者一同、心から感謝しています。

 この事件は、お子さんが割りばしを口にくわえて転び、その割りばしが脳に達して亡くなった不幸な事故です。医療事故ではなく、ましてや医療ミスでもありません。そのことが法的に立証されました。私どもの力が及ばず、お子さんを救えなかったことについて重く受け止めており、心からご冥福をお祈りしてきました。

 しかし、この事件は医学的には極めて難しいケースであるにもかかわらず、夜間の救急外来において診断できなかったことの刑事責任を問われたために、私どもは大きな違和感を持ち、法廷において法律的に対応してきました。わが国は法治国家であり、刑事責任を追及された以上は、この件は法廷でのみ決着させるという信念に基づき、これまで公の場での発言を一切控えてきました。

 法的な決着がついた今、改めて報道機関の現在までの対応に対して意見を述べたいと思います。

 まず問題としたい点は、刑事裁判の地裁、高裁において無罪、また民事裁判の地裁、高裁において過失なしと判断された後でも、一部の報道では自分たちの主張が認められなかったことへの不満からか、紙面や番組の構成で、あたかも医師に過失があったかのような印象を与える情報操作を行っています

 今回の事件の事実関係はすべて明らかにされているにもかかわらず、一部の新聞やテレビ番組では、隠された事実があり、それが公開されていないがために、無罪判決になったように報道されていました。専門家以外の方が感情的にコメントするテレビでは、仕方がない面もあるかもしれませんが、客観性をうたい、社会の良識を代表すると自認する大新聞までもがそれでよいのでしょうか。




裁判所の判断も尊重しない報道機関


 この明らかにされている事実関係について、被告側、検察側の医学、法律の専門家が医学的、法律的に過失があったかどうかを議論し、裁判所は最終的に医師側の見解が正しいと判断したのです。刑事、民事の高裁の判断は社会において尊重されるべきであり、それが法治国家のルールです。報道機関には社会正義を守るために、報道の自由と、報道のための編集の自由が社会から与えられています。裁判所の判断を尊重しないこのような報道機関の姿勢は、まさに法治国家の理念を否定するものです。

 亡くなったお子さんの担当医だった私の教え子は、不当なペンの暴力により医師としての人生を大きく狂わされました。報道機関は自分たちこそが正義であるという視点に立ち、世論を誘導して著しい人権侵害を引き起こしてきました。限られた時間での記事執筆が求められている以上、ときには間違った報道をしてしまうこともあるかもしれません。しかしながら、報道の誤りが明確になった時点では、報道機関は誤った報道について真摯(しんし)に反省し、自分たちの判断のどこに誤りがあったのかを検証して、それを報道すべきでしょう。

 報道と編集権の自由とは、報道機関が自分の都合のよい情報だけを提供することではないはずです。今回の事件は、社会が報道機関に与えている、報道と編集権の自由について、報道機関自らが改めて考えるよい機会であり、報道機関には今後も社会の木鐸(ぼくたく)としての重要な役割を担ってほしいと願います。




医療崩壊の理由は医療システムの問題にあらず


 現在日本の医療は危機的状況に陥っています。特に産科医療に関しては、ほぼ崩壊状態といっても過言ではありません。その原因には様々なことが挙げられています。保険制度を含めた医療システムの問題、医師の不足による勤務医の過酷な労働状況、病院勤務医と開業医、または各診療科の医師数の不均衡などが論議されています。

 いずれも一見理にかなった分析のように見えますが、これらが改善されても医療危機がすべて解消されることはないでしょう。今から10年以上前の医療状況を思い出してみてください。医師の数は現在より8%程度少なかったにもかかわらず、医療は現在ほど危機的状況にはありませんでした。また、救急患者の受け入れについても、今日ほど大きな社会問題にはなっていませんでした。

 医療危機が一気に進行したのは、医療システムの問題でもなく医師不足に陥ったからでもありません。医師が「患者さんのために働く」という最も重要なモチベーションを失い、医療の最前線から立ち去ったためです。何がそのような行動を多くの医師に取らせたのでしょうか。それは、善意に基づいた医療でも、その結果が悪ければ刑事責任を問うという社会の姿勢です。医療危機のきっかけは、経済問題でもなく、過酷な勤務状況でもありません。大病院の勤務医は労働条件に見合わない低収入や過酷な勤務状況に対しても、不満を自ら封印して社会のために貢献してきました。しかしながら、善意に基づいて行った医療行為の結果が思わしくなかったという理由で、刑事責任を問われる事態が起こり、医師は初めて自分たちの価値観がいかに社会、特に報道の価値観と懸け離れているかを思い知らされて、現場から立ち去っていったのです。その大きなきっかけが割りばし事件でした。このような医師への刑事責任追及に対して報道機関の果たした役割は極めて大きく、報道が今日の医療の危機的状況を作り出したといえます。





現在の医師数は決して少なくはない


 一度失われた医師の価値観を再び取り戻すのはなかなか難しいことです。その状況下で、できるだけ早く現在の医療危機を乗り越えるためには、医師の勤務状況を改善して一般の勤労者と同じ労働条件を法律で保障する必要があります。

 ただし医師の数についていえば、多くの識者が述べている「日本の医師数は他国に比べて著しく少ない」とする考えは正しくありません。日本の人口に対する医師の数はオーストラリアやカナダと比べても大きな差はありません。まして、同じ人口でも国土が広ければ、同一の医療環境を保つためにはより多くの医師を必要とします。そう考えると、わが国の医師数は実質、オーストラリアやカナダとほぼ同じといえるでしょう。

 オーストラリアやカナダは日本と似た医療制度を採用していますが、この両国に医療危機が起こっているという話は聞いていません。従って、単に医師の数を増やすことが直ちに医療崩壊の解決につながるとは思えません

 長期的には、「善意に基づく医療行為の結果については刑事責任を問わない」という原則が再び社会に確立されれば、多くの活力ある医師が大病院の臨床現場に戻ってくると思います。一般に医師は難しい臨床の現場で働くことに誇りを感じる人種であり、この原則が確立されれば、将来多くの医師が病院に踏みとどまると思われます。安易に医師を大量生産するだけでは、将来、さらに難しい問題を抱える可能性もあり、慎重に対応すべきだと考えます


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@





文字数の関係で今回はここまでです
次回はこれにたいする僕の感想を書きます

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医師の定数は、30年後には、現在の定数でも多いかも知れません。これから医師になられる方の30年後は、50から55歳です。勤務いなら開業医としてやられている年齢です(現状で、多額の借り入れをして開業ができるか?と言うのは別に)。かれらの30年後を不幸にする必要はありません。

割り箸が小脳まで到達は、柔軟性を持つ割り箸のた起こってしまった症例です。それ以外にはない事です。 人は生物である以上必ず死にます、それがどのような形に成るかは、神ぞ知る。 最大の国家権力の一つの裁判所の決定に従わないのは、法治国家としては、許されませんし、それが間違いと言うので有るならば、再度裁判所での判定をやる事になります。

2009/7/5(日) 午後 2:11 [ おみぞ ] <<コメントに返信する

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報道機関は、社会に与える影響と報道の使命を真摯に受け止め、公平な立場で報道して欲しいものです。

割バシ事件の”犯人(原因)”は、子を監視しきれなかった、保護者ではないでしょうか?親のことを”保護者”と表現するのは、子の危険を回避する義務、子を守る義務があるからではないでしょうか?
子を産めば、誰でも親にはなれますが、自己の責任を医師に転嫁し、我が身の保身に終始する親は、”保護者”ではないと思います。
このような”親たち”をも、医療の被害者という設定で医者のバッシングを続ける報道機関って、どのような尺度で世の中を見ているのでしょう。

娘の学生時代の話ですが、大学の教授が告訴される事件がありました。その当時、学内の関係者でさえ真実を知らないため、報道をそのまま鵜呑みにしていましたが、数年後に、無罪判決が出ましたが無罪の報道は全くされませんでした。それ以来、マスコミ不信に陥っています。
マスコミは、罪作りです。(教授は名誉棄損で訴えれば、良かったのですが・・・お気の毒としか言いようがない事件でした)

2009/7/5(日) 午後 2:44 [ みみ ] <<コメントに返信する

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おみぞさん
医者は30年後どころかもう直ぐ余りますよ
急性期病床はもう必要ありません、余ってます。
コメディカル増やして医者減らすくらいで丁度良いんですがね。

裁判については従うのは法治国家である以上仕方がありませんが、その評価はちゃんとすべきと思います。

2009/7/8(水) 午後 7:54 [ koredeiino345 ] <<コメントに返信する

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みみさん
親の責任については次回書いていますので読んでみて下さい。
マスコミの無責任ぶりにみんな気付いているんですよね。
彼らはどれほど軽蔑されているか知るべきでしょうね。

2009/7/8(水) 午後 7:55 [ koredeiino345 ] <<コメントに返信する

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問題は、唯一裁決を出せる存在の裁判所を脇によけて、マスメディアが、独自の判定を誘導する事です。起訴前に前に、被疑者の実名報道。被害者の実名報道など。裁判員制度が始まった今、その報道姿勢は改められるべきです。でなければ危険な心情を抱かす事になります。 心情は別にして。 裁判官の出した判決文を読む事でしかそれを理解するしかございません。心情とは別にです。 刑事での被告に不満があろうともですし、民事でも被告、原告にどちらかに不満が有ろうともです。

医師の人数は足らないわけではない、おらが所にも全科の医師をの要求がのだけですから。 過剰な要求での架空の要求数です。

2009/7/8(水) 午後 8:38 [ おみぞ ] <<コメントに返信する

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話は、少しずれますが、言わせてください。

小児は症状をうまく表現できないので、大人を相手にするのとはわけが違います。そのため、検査を多くするようになってしまうのですが、保険審査でそれが引っ掛かります。産科も保険ルールがとても厳しいです。耳鼻科も煩雑なことが多く、その大変さは携わった人でないと分からないのですが、マイナーな科とか、稼ぎ所の科ではないとか、命に係わりないとか、、、医療関係者でさえ正当に評価していなかったりします。(病院開設者も、それらの科を置きたがりません)

保険審査機関も医師の敵です。公立病院の医師が儲けるためにいろいろやっているわけではないのに、減点してきます。縮小医療をさせる支払機関と、患者の要求とのギャップに医師たちはとても苦しんでいます。

医師は、病院から去ってもしかたないと思います。

2009/7/8(水) 午後 11:08 [ みみ ] <<コメントに返信する

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