[PR]

 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は4日、安倍晋三首相の米議会演説について、「慰安婦の被害者をはじめ歴史問題について真に謝罪することで隣国の信頼を強化できる機会を生かせなかった」と批判した。対日外交について方針を変えない考えを示したが、日米同盟の強化と日中関係の改善を踏まえ、見直しの声が相次いでいる。

 朴大統領は大統領府で開かれた首席秘書官会議で語った。慰安婦問題などについて「我々が解決してあげることはできない」と述べ、日本側の積極的な対応が必要だとの立場を強調した。一方で、「我々の外交は歴史問題に埋没せず、別の次元の目標と方向を持って進めている」とも説明。歴史問題については厳しく対応するが、それ以外の安全保障や経済などについては協力を進めていく外交方針は続ける姿勢を示した。

 こうした韓国の対日外交方針は「ツートラック戦略」と呼ばれている。しかし、最近は見直しを求める声が相次いでいる。安倍首相は今回の訪米で日米同盟を強化し、4月22日には歴史認識問題で韓国と共に日本を批判していた中国の習近平(シーチンピン)国家主席とも5カ月ぶりに会談。朴大統領は就任後一度も安倍首相と二国間会談をしておらず、韓国が孤立するとの不安が広がっていることが背景にある。