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 憲法記念日に合わせ、朝日新聞は各党に憲法についての考え方を聞いた。自民、民主など7党は憲法改正に賛成し、共産、社民の両党は反対している。ただ、賛成する各党の中でも、改正時期や対象とする項目や条文についての立ち位置には開きがある。自民は早期の国会発議をめざすが、民主や公明などは慎重な議論を求めており、今後、国会の憲法審査会などでの審議が注目される。

 朝日新聞は4月、衆参の憲法審査会に加わる9党の憲法議論をとりまとめる責任者や、政策担当者に党のスタンスを取材した。

 「憲法と現実が合わなくなった部分が出てきた。勇気を持って憲法を変えるべきだ」。自民の船田元・憲法改正推進本部長は「来夏の参院選以降、1年以内に憲法改正を国会で発議し、国民投票を実施したい」と語り、早期の発議をめざす立場だ。維新の小沢鋭仁憲法調査会長も「我々は憲法改正の率先勢力。改憲のため、まず一歩を踏み出すことに力を注ぎたい」と主張する。

 これに対し、公明の北側一雄憲法調査会長は「内容についてしっかりと議論し、各党で一定の考え方を共有するのが大事だ」と述べ、改正を急ぐ姿勢を牽制(けんせい)する。

 民主は改正には賛成の立場だが、江田五月憲法調査会長は「我々と共通認識のない安倍政権のもとで改憲論議は封印する」と明言する。一方、改憲に反対する立場からは「表現の自由など、今の政権で制限されていることをどう見るか。そういう議論をすべきだ」(社民の福島瑞穂副党首)との声も上がる。

 憲法をめぐる国会での議論は、連休明けから本格化する見通しだ。7日から論議が再開する衆院憲法審査会で、自民は、「緊急事態条項」「環境権」「財政規律条項」について、有力な改正項目として絞り込みに向けた議論を進めたい考えだ。いずれも現行憲法には規定がなく、各党の意見がぶつかる9条改正などに比べて、合意しやすいとみるからだ。

 この3項目について各党に考えを尋ねたところ、6党が緊急事態条項の新設に賛成した。

 公明の北側氏は「大規模災害時に国会議員の任期や解散に関わる規定について、一定の例外を設けていくことは議論していくべきだ」と主張。生活の主浜了副代表も「全国務大臣が欠けた時の臨時代理についての根拠規定は必要」と述べるなど、大災害時などへの対応を憲法に追加することについては、6党がほぼ一致した。

 一方、自民がまとめた憲法改正草案で盛り込まれたような、緊急時には首相や内閣へ権限を集中させたり、国民の権利を一時制限したりすることについては、意見が割れた。維新の小沢氏は「一時的な人権の制約を規定する必要がある」と主張するが、民主の江田氏は「人権の制約には反対」とした。

 日本を元気にする会は、「中立」の立場。山田太郎政調会長は「行政権に力を与えるということだから、必要性は理解しても簡単に賛成とは言えない」と、首相や内閣に権限が集中することへの懸念を示した。

 環境権については、6党が賛成。財政規律条項については、「憲法ではなくて法律で十分にやっていける」(北側氏)と慎重な意見が目立ち、4党の賛成にとどまった。

 各党の合意が得やすい項目で改正を進めようとする自民の手法に対して、共産の小池晃政策委員長は「変えやすいところから変えていくのは、国民を愚弄(ぐろう)するものだ」と批判する。(岡村夏樹、安倍龍太郎)