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 木のぬくもりが感じられ、子どもがなめても大丈夫なブロックのおもちゃ「MOKULOCK(もくロック)」の評価が、海外で高まっている。県土の約7割が森林の山形県にある電子機器組み立てメーカーのニューテックシンセイが、「副業」から生み出した。

 作業所は、山に囲まれて水田も広がる盆地の山形県米沢市の中心部にある。

 訪ねると、将棋のこまをひと回りほど大きくした木片(3・3センチ×7・5センチ×1・4センチ)に、小さな刃物が次々と凸凹をつけ、木くずを飛ばしていた。これを4等分したブロックを、1日に約1200ピースつくる。もくロックにかかわるのは、従業員128人のうち7人だ。

 この小さな刃物がついた削る機械は、作業所に約20台ある。それぞれノートパソコンに組み込まれたプログラムで、髪の毛の細さ(約0・08ミリ)よりも精密に削れるように制御されている。まるで電子部品をつくっているかのようだ。本業である、パソコンやOA機器の組み立てなどの技術を応用した。

 おもちゃに進出したきっかけは、3代目社長の桑原晃さん(35)が「このまま中国や台湾勢と同じことをやっていても、太刀打ちできない。生産効率を上げるだけではだめだ」と感じたことだった。

 地元の自然を生かす道に目を向けてみると、カエデやケヤキなど地元の間伐材や、家具などにするには不向きの使われない材木が手に入ることがわかった。電子機器づくりで鍛えた技術を生かせることも決め手となり、2009年に開発部隊を立ち上げた。製品を納めていたパソコン工場が市内にあるNECと、中国のレノボが11年にパソコン事業で合弁会社を設立したことも、おもちゃの道へと背中を押した。

 ただ、木は、温度や湿度で伸び縮みがあり、種類によってその度合いは違う。精度を保ちながら一定の形にそろえる技術を確立するには、失敗も繰り返した。

 同じ木で何種類かつくってみたが、ブロック同士がはまらなかったり、割れてしまったりして、品質がそろわない。複数の種類の木を一定の湿度に保った空間に置き、水分を抜く工程を繰り返し、適した水分率になるタイミングを探った。責任者として商品開発にあたった山岸新司さん(40)は「水分を電子レンジで抜こうとして炭にしたこともある」と笑って振り返る。

 試行錯誤に2年間を費やし、商品化にこぎつけたのは11年。京都高島屋は、昨年のクリスマスからもくロックを扱い、最もよく売れる120ピースなら、税込み1万800円で売る。担当者は「木製のブロックには、オリジナリティーがある。1日に何個も売れる商品ではないけれど、本物志向の人に支持を集めている」という。(岩沢志気)

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