二大政党制を採り入れ、政権交代がスムーズにできる政治を実現する。そんな期待が、つい最近の日本にもあった。

 だが、世界の流れを見ると、その意識はもはや現実にそぐわなくなっているようだ。

 二大政党制の本場、英国の総選挙が7日に投開票される。主要政党に有利な単純小選挙区制。にもかかわらず、事前の世論調査では、どの政党も過半数を占められない情勢だ。

 前回2010年の選挙でも、2大勢力がいずれも過半数を得ないハングパーラメント(宙づり議会)状態に陥った。調整の末、第2次大戦中の挙国一致内閣以来の連立政権になった。

 今回もまた、連立か閣外協力の政権を生む公算が大きい。これは一時的な現象ではなく、二大政党制の終わりを示していると多くの専門家は考えている。

 二大政党制は、アングロサクソン系の国々に多く見られるモデルだった。すでにその多くの国が多党制に移行している。

 原因は明らかだ。時代とともに人びとが政治に求めるものが変わり、二つだけの選択肢では有権者の多様なニーズに応えられなくなったからである。

 英下院は定数650で、すべて小選挙区。戦後ほぼ一貫して保守党と労働党が競い、勝者が政権を担った。1950年代には、全投票の9割以上が二つの政党に集中した。

 しかし、その割合は年々下がり、前回は65%あまり。今回も小政党や地域政党が一定の議席を獲得すると予想される。

 この傾向は、他の二大政党国でも顕著だ。カナダでは、11年の総選挙で第2党と第3党が入れ替わり、二大政党制が変質した。豪州では10年の総選挙で、戦後初の宙づり議会となった。

 二大政党制は、比較的わかりやすく争点を示す特徴がある。「選択」は民主主義が持つ重要な機能だ。特に、人々の立場が明確に二分されていた冷戦期には大きな意味を持っていた。

 だが、現代の社会はより複雑で、人々の価値観や思考も多様になった。その流れの中では、民主主義のもう一つの機能である、意見の集約が重要となる。すなわち、「選択」よりも、多くの立場の間で主張をまとめる「合意形成」である。

 英国の変化を機に、政治と民主主義を幅広く論じたい。二大政党制の限界を検証するとともに、多党化時代の政党の役割を問い直すときだ。

 英豪などにならって小選挙区制を採用した日本にとっても、政党政治の意味をとらえ直すべき重い局面にきている。