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時代の正体<84> 戦史が語る破局への道
- 特報
- 神奈川新聞
- 公開:2015/04/29 10:14 更新:2015/05/03 12:50
危うさを感じるようになったのは2012年4月、自民党の憲法改正草案に接してからだった。
「この国の価値判断の基準を根底から変える文言がちりばめられている」
幸福追求権を定めた13条は、現行憲法では〈すべて国民は、個人として尊重される〉とあるが、改正草案では〈個人〉を〈人〉に言い換えている。
違和感を覚えた。「一人一人の個人ではなく、ひとまとまりの『人』として扱うということではないか」
表現の自由を定めた21条には、こう付け加える。
〈公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない〉
「時の権力者が『敵』とみなせば自由を奪うことができるということ。改正草案は国民より国家体制を重視する内容になっている」。それは国民の命の重さが変わることを意味する。守られるべきは命より、国家としての国。
政権はいま、安全保障環境の変化、つまり隣国の脅威から国を守るために安保法制改定を進める。先立つ集団的自衛権の行使容認は憲法9条を骨抜きにし、実際の憲法改正に向けた布石に映る。
「戦争なんか起きないと思っている人は多い。私もそう思いたい」
山崎さんは「だが」と、強調する。「戦史をひもとけば、ちょっとした出来事が発端となり、局地的な混乱から国家間の紛争、そして戦争へ発展した例は数多い」
悲劇はそれだけに終わらない。
「終わらせるのは途方もなく大変だ。戦前、戦中と国民を戦争へと向かわせ、反対する言論を封じ、国全体を高揚させているからだ。権力者にとっては下手な終わらせ方をすれば自らの立場が危うくなる。少しだけ手を出し、良いタイミングで退けばいいという考えは通用しない」
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