ネパール地震:病状訴える人、殺到 自衛隊が診療所開設
毎日新聞 2015年05月02日 22時09分(最終更新 05月02日 22時21分)
【カトマンズ竹内良和】ネパールの大地震で、現地に派遣中の自衛隊が2日、医療援助活動を本格化させた。テント暮らしなどで体調を崩す被災者が続出しているものの、貧しさから治療費を払えなかったり、押し寄せたけが人で手いっぱいの病院に診療を断られたりするケースが多く、現地の医療事情は悪化している。このため自衛隊が開設した診療所には、多くの患者が詰めかけた。
診療所となる大型テントが張られたのは、首都カトマンズ最大規模のトゥンディケル避難所の空き地。この日は医師、薬剤師を含む約40人の隊員が約3時間、診療活動をした。ネパール語に堪能な隊員がいないため、病状をイラスト入りで記した特製シートを患者に指してもらうなどして診察。テント前は、診察待ちの人でいっぱいになった。
「体調が良くない。飲み水が悪いせいかもしれない」と話したのは、地方の村の出身で大学生のナンドゥ・カーキさん(23)。地震で壊れ危険な状態のアパートで今も暮らし、「学生でお金がなく、なかなか病院にも行けない」と漏らした。
ラリタ・モガルさん(23)は、血便が止まらない長男サウラブちゃん(4)を連れてやってきた。「昨日病院に行ったのに『薬もないし、けが人の治療で忙しい』と治療を断られた」と訴える。アパートが壊れ、この1週間は一家でテントに身を寄せ、夜の寒さに悩まされているという。「この子は食事も少ししか口にしない。血便の原因も分からない」と顔を曇らせた。
患者の受け付けなどを担当する岡本史郎・救護陸曹(38)は東日本大震災でも発生直後に福島県で医療援助活動に当たった。「がれきのほこりでのどを痛めてかぜ症状が出たり、地震のショックで眠れなくなったりした人が多い」と話した。