ベルリン=玉川透
2015年5月3日21時32分
ナチス・ドイツが連合国に降伏してから8日で70周年になるのを前に、メルケル独首相は2日、国民に歴史と向き合うよう呼びかける映像メッセージを政府ホームページに公開した。メルケル氏は「歴史に終止符はない。我々ドイツ人は特に、ナチス時代に行われたことを知り、注意深く敏感に対応する責任がある」と訴えている。
メルケル氏は映像メッセージで、ドイツ国内のユダヤ系の施設を警官が警備している現状を「恥だ」とし、「意見を異にする人々が攻撃されるのは間違っている」と指摘。学校や社会でも歴史の知識を広めていくことの重要性を強調し、戦後ドイツに移り住んだ人々にも「ドイツの過去を共有」するよう求めた。
メルケル氏はまた、自身が10日にモスクワを訪れ、ロシアのプーチン大統領と無名戦士の墓に献花すると説明。ウクライナ危機でロシアと対立していても「第2次大戦の多数の犠牲者を追悼することは重要だ」と理解を求めた。
ロシアは9日にモスクワで対独戦勝70周年の式典を行うが、ウクライナ危機を背景に欧米各国の首脳は欠席を表明。メルケル氏も9日の式典は欠席するが、10日に無名戦士の墓を訪れることでバランスを取った。
メルケル氏は3日、4万人以上が犠牲となった独南部のダッハウ強制収容所の解放70年式典で演説し、「ナチスがこの収容所で犠牲者に与えた底知れない恐怖を、我々は犠牲者のため、我々のため、そして将来の世代のために、決して忘れない」と語った。(ベルリン=玉川透)
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