「安倍叩きは朝日新聞の社是」発言はしていません
田原: 今日は朝日新聞の主筆だった若宮啓文さんに来ていただきました。先日、若宮さんが僕のところに電話を掛けてきて、僕が百田尚樹さんと対談した『愛国論』という本があるんだけど、その中で百田尚樹さんの言っていることに非常に問題があるということをおっしゃった。
百田さんの発言で、「実は有名な話ですが、亡くなった政治評論家の三宅久之さんが朝日新聞の若宮啓文論説主幹に『なぜ安倍晋三をいたずらに叩くんだ、いいところもあるんだからそこも認めるような報道をしたらどうだ』と言ったら、『できない。社是だから』と言った。そんな姿勢を見ると客観的な報道を逸脱しているんじゃないかと思う。安倍さん叩きが社是ならば先に結論ありきの報道だ」というようなことを言っているんですね。
これについて若宮さんは、「それは事実ではない。自分は『社是だから安倍晋三を叩く』なんて言ったことはない」とおっしゃっています。
若宮: この発言の出典は小川榮太郎さんの『約束の日』という本で、その1ページ目に今の話が出てくるんです。だから百田さんはそれを信じてそう言ったんだと思います。ただ、小川さんがずるいのは、その本で「これは本人に確認していない」と書いているんですよ。しかし、「確認するまでもない」というような言い方で断定しているんですね。
田原: そこを聞きたい。若宮さんは三宅さんがそう言ったということで、「冗談じゃない」と三宅さんに抗議したんですか?
若宮: 驚いて電話しましたよ。そうしたら、三宅さんは「いや、たしかにそう言ったよ」と。だったらどこで言ったのかと聞いたら、「記憶がない、どこかで立ち話で言ったんじゃないか」とそういう話だったんです。
だから「いや、それは三宅さんの勘違いですよ。そもそも私は『社是』とか『国是』なんて言葉はあんまり好きじゃないし、どこかでそんなことを言うことなんてない。想像さえつかない」と。だから、本でその話を読んだときも本当に狐につままれたような気持ちだったんですよ。
ただ言った言わないの話は水掛論で終わってしまうでしょう。それで『約束の日』を出した幻冬舎に、まだ私が朝日新聞にいた頃の話なので、朝日新聞社として厳重に抗議文を出したんです。そのときに「三宅さんが言っているように、朝日新聞が安倍さんのいいことを褒めずにすべて叩いたかどうか、事実で証明しましょう」ということで、いくつか私の論説主幹時代の社説をコピーしてそれをつけて出したんですよ。
そうすると、ハッキリわかったのは、少なくとも三つの社説で安倍政権を高く評価しているんですね。そういうこともあるから、もし社是だったら私は社是に反したということになるわけですよ。でも、そんなことはあり得ない。
田原: それに対して幻冬舎はどうしたんですか?
若宮: 幻冬舎は「次の版を出すときに少し変えます」ということでたしかに少し変えたんですが、私が否定したということは書いていなくて、何だか要領を得ないような直しをしていました。もうバカバカしいので、それ以上は言わなかった。今度は『愛国論』を出したKKベストセラーズに厳重抗議してあります。
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