【動画】「憲法って?一日授業」木村草太さん×内山奈月さん対談 憲法を立てる=高橋敦、佐藤正人撮影
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 日本国憲法の施行から68年。でも、ふだんの暮らしで、私たちが憲法を実感することはあまりない。憲法全文の暗唱という特技をもつ、AKB48メンバーの内山奈月さんが、憲法学者の木村草太さんと一緒に「そもそも憲法はなぜ作られたのか」から考えた。

■憲法を立てる

 木村草太 まず、憲法とは何かという話から始めましょう。内山さんは憲法学者の南野森・九州大教授と「憲法主義」という本を出されましたよね。憲法主義を英語に訳すと?

 内山奈月 constitutionalism

 木村 そう。日本では普通、「立憲主義」って訳します。なぜそう訳すようになったのでしょうね?

 内山 みんなで憲法を作ろうという思いが込められているんでしょうか。

 木村 では、憲法を作るとは、どういうことでしょうか。国の憲法に限らず、どんな団体にもルールはありますね。AKBは?

 内山 AKBメンバーになる時に契約書を交わします。

 木村 なるほど。でもルールは文章になっているものだけではありません。AKBにも文章になってないルールがありますよね?

 内山 たくさんあります!

 木村 日本国憲法の場合もそうです。例えば第1章の「天皇」の規定には、そもそも天皇家とはどんな家の人なのかとかは……。

 内山 書いてないです。

 木村 ですから、日本の歴史や制度を何も知らない人が読んだら、天皇家とは何か分からない。知っている人は分かる。このように憲法典に書かれていないルールはたくさんあります。

 内山 AKBでも(真ん中で歌う)センターの決め方なんかは文章になっていません。「総選挙」やじゃんけんのほか、(総合プロデューサーの)秋元康先生が決めることもあります。

 木村 明治国家のルールも、当初は書かれていないことがたくさんありました。そこで憲法典を作り、新国家のルールを明確な形で作ろうとした。明治国家は憲法を作って、何をしようとしたのでしょう?

 内山 国会を作る?

 木村 そうです。帝国憲法の制定≒帝国議会の設置でした。憲法はただあるものではなく、議会政治の理念を実現するために自分たちで「立てる」ものだ。そう考えたから「立憲主義」という言葉が採用されたのでしょう。では内山さんが、今の日本で実現したい理念って何ですか。

 内山 経済成長すれば就職が決まりやすいとか、明るい世の中になるとか。

 木村 内山さんは大学生で、AKBでも活動している。AKBは経済活動でもあるので、歌ったり踊ったりする時間が長くなれば、経済が成長する。でも大学生の活動は大変になる。じゃあ、どんなルールがあればいいと思う?

 内山 大学の授業がもっと夜遅くまであったらとか、希望に合わせた時間割を組めるとか。でも、これじゃあ個人的な希望ですね。

 木村 いや、そこが大事です。例えば、大学に通いながら経済活動ができる人を増やしたい。その理念を実現するルールを考えるわけですね。ところで、いきなり条文を考えましたか?

 内山 いいえ。

 木村 そうですよね。こういう国にしたいと考えて、理念が生まれ、その理念を実現するために何が必要かという順番で考えたと思います。まずは自分たちがどうしたいのか。理念を定めて、そのための条文を作る。それが憲法を立てるための手順です。

■決定どちらが