「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます

テレビで「話題」の人気寿司店をメッタ斬り!

「客をナメているとしか思えない、これで1人6000円は許せない」

食べ終わっての感想

この店のマグロは、売りにするだけあって、値段のわりには十分おいしいと思いました。

でも、いってみれば、それは素材がいいというだけのこと。

この店の問題は、職人がきちんと職人の仕事をしていないことです。職人の白衣に、きちんとアイロンがかかっていない。ていねいに握っていない寿司を平気で出してくる。ワサビやシャリの扱いも残念でした。

そもそも、このチェーン店は、寿司職人が白衣のまま店頭で客案内をしたり、チラシの配布をしています。ホールで働く人が制服で店頭に立つことは理解できても、厨房で働く職人が、白衣と長靴のまま店頭で客案内やチラシ配布をするのは、衛生上、理解できません。

また、皿もちゃんと洗えていなかったり、指紋がついたままの皿を出してきたり、寿司を載せる皿に水気が残っていたりもしました。

結局、これを注意する親方がいないということです。だから、こういう雑な仕事をしてしまう。このチェーンの社長さんは、マスコミに出ている時間があるなら、ちゃんと店に出て実地指導をしてほしいと思いました。

「客はマグロ目当てにやって来るんだろう。マグロだけいいネタを出していれば、他のことはどうせ素人にはわからないだろう」と、客をナメているとしか思えません。

それでいて値段は、2人でそこそこ食べて、それぞれドリンクを2~3杯飲めば、ひとり6000~7000円はする。決して安いとはいえません。今時はミシュランの星をとった店だって、1万円で食べられる店もあるわけですから。

仮に「①100円均一の回転寿司」「②職人が握ってくれる回転寿司」「③普通の寿司屋」「④ひとり1万円超えの高級店」とランク付けをしたとすると、この店は値段は③レベルなのに、寿司職人の技術とモラルは①と②の間になっている。

リーズナブルに見えて、じつは高い。ネタはマグロを除いて、回転寿司に毛が生えた程度。本来なら一度行ったら、次も行きたいとは思わないはずです。

それでも混んでいたのは、回転寿司ばかりに行っていて、本当のおいしい寿司を食べていない人が多いからかもしれません。本物を食べれば、その違いは誰でもわかるものです。

それからもうひとつ、メディアの宣伝にやられている。この店は宣伝が上手だから、みんなが「回転寿司よりおいしくて、それでいてリーズナブル」という認識をもってしまっているのでしょう。その意味でも残念な店でした。

次ページ次回は、「高級寿司店に行ってみた」
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