「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます

テレビで「話題」の人気寿司店をメッタ斬り!

「客をナメているとしか思えない、これで1人6000円は許せない」

巻物は「海苔」を見る、シャリは「米びつ」を見る

N君:なんか、辛口コメントばかりなので、この店の売りのマグロをもう少しいただきましょうよ。トロと鉄火巻き。

河岸:このトロはひどいね。シャリがちゃんと握られてなくて、ご飯粒がこぼれちゃってる。こんなのありえないよ、握りじゃない。米粒のカタマリの上に刺身を載せただけであって、寿司とは呼べない。

N君:「米粒のカタマリの上に刺身を載せただけであって、寿司ではない」なんて、またヒドい言いようですね(笑)。

河岸:せっかくいいネタを使っているのに、ネタに失礼だよ。少なくとも、寿司職人とは言えないね。レベルが低すぎる。

N君:この店の常連さんによると、ここは寿司職人が大勢いて、誰が握るかによって、当たり外れがあるみたいですね。

河岸:それなら、前回指摘した「誰も品質管理をしていない回転寿司」と同じレベルだよ。この店は値段が違うんだから、それを考えると回転寿司以下だね。同じ店なのに、作る人で出来上がりに大きな差が出る店は、当然いい店とは言えない。

N君:まあ、トロの米粒がはみ出ているくらいで、そこまで言わなくても……。

河岸:いや、トロだけじゃない。この鉄火巻きも、海苔の外にご飯の粒がはみ出ている。

N君:ホントですね……。僕がよく行く100円の回転寿司では、たまにこういうのを見かけますが(笑)。鉄火巻きをはじめ、巻物のよしあしを見抜くコツってありますか?

河岸:巻物のおいしさは「海苔」で大きく左右される。巻物は、じつは海苔が命なんだ。

N君:なるほど、巻物を食べるときは「海苔」に着目するわけですか。

河岸:海苔に風味があるかどうかは、食べれば誰でもわかるからね。この海苔、香りが全然しないでしょ。ということは、非常にレベルの低い海苔を使っている証拠。

N君:そう言われると、たしかにこの海苔、おいしくないですね(泣)。

河岸:あと、前回も言ったけど、寿司はなんだかんだいってシャリ、ご飯なの。おいしさを決めるかわりに、いちばん難しいのがコメ。

N君:「精米してからの時間や季節によってコメの甘みは微妙に変わるし、店で炊いてからも、シャリの温度は刻一刻と変化する」。ちゃんと覚えましたよ(笑)。

河岸:ご飯は炊きたてが一番おいしいけれど、おいしさが保てる時間は、コメによっても季節によっても違う。某大手100円寿司チェーンは1日に2回しかご飯を炊かない。1日2回では、後半のほうに出てくるシャリはもうダメなの。だからあそこは、いま客足がどんどん落ちている。寿司はなんだかんだ言ってご飯なんだ。

N君:この店はどうですか?

河岸:カウンターの中を見てごらん。炊いたご飯をおひつに移して、ふきんもかけないで使っているでしょう。シャリをむき出しの状態にしてはダメ。こんなの論外だよ。

N君:また論外ですか(笑)。しかし、よく細かいとこまでチェックしてますね。

河岸:ただの酔っ払いだと思ってた?

N君:いや、ちょっと思ってたけど、見直しました(笑)。

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