西山貴章
2015年5月2日19時02分
最高裁の寺田逸郎長官が3日の憲法記念日を前に記者会見し、「家族のありようが変化し、解決が困難な家族関係の紛争が持ち込まれることが一層顕著になる。広く納得できる判断を示すよう努めたい」と述べた。最高裁が大法廷で審理することを決めている、夫婦別姓などの問題を念頭に置いた発言とみられる。
夫婦別姓や女性の再婚禁止期間をめぐる民法の規定について、最高裁は合憲か違憲かを初めて判断する見通し。寺田長官は、家族のあり方が多様化する中での「司法の役割」を問われ、「家庭内の問題として処理されてきた夫婦間の暴力や児童虐待に、裁判所が乗り出すようになった。新しい局面に、様々な工夫をして対応していく」と述べた。
制度開始から、まもなく6年となる裁判員裁判は「定着しつつある」と評価。裁判員らが導いた一審の死刑判決を二審が破棄した事例で、「市民感覚の反映」と「刑の公平性」のバランスを問われると「難しい問題。一審の結論が百%維持されるものではないことを、裁判員にも十分理解してもらう努力が必要。審議での裁判官の役割を議論しなければならない」と述べた。
憲法改正の是非や議論のあり方については、「国民的な議論に委ねられるべきで、裁判所から申し上げるべきことではない」と述べるにとどめた。(西山貴章)
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