【コラム】李完九首相離任式と韓国人が期待する光景

【コラム】李完九首相離任式と韓国人が期待する光景

 今年1月23日朝、首相候補者として発表された与党セヌリ党の李完九(イ・ワング)院内代表は、紅潮した表情で記者たちの前に座った。李氏は「きのうの夜遅くに連絡を受けた」として、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領をあがめるような口調で話を始めた。「大統領にお仕えし(中略)国民のために身をささげたいという決心を、まず(大統領に)申し上げた」と述べた。それからわずか3カ月後の今月27日夕刻、李完九首相はやや複雑な表情で離任式に臨んだ。幾つかの場面で「国民に申し訳ない」と口にした李首相だったが、任命権者である朴大統領については全く言及しなかった。朴大統領もまた、李首相の辞表を受理した際、特にコメントすることはなかったという。

 先週には、ソウル市鍾路区三清洞にある首相公邸のバルコニーを、パジャマ姿でうろうろする李首相の写真が新聞に掲載された。27日には、夜中にカーテン越しに映る李首相のシルエットの写真も掲載された。この日早朝に南米諸国の歴訪から帰国した朴大統領が辞表を受理するまで、事が一気に進んだように思えるが、李首相は辞意を表明した今月20日から1週間、外部との接触を絶ち、公邸に引きこもっていた。夜も寝付けない様子の李首相の写真を見て、複雑な気持ちにさせられた。深刻そうな表情でバルコニーに立つ李首相は何を考えていたのだろうか。悔恨の気持ちでいっぱいだったのか、それとも怒りに燃えていたのだろうか。

 春の花の香りに包まれる中、株式市場は崖っぷちに立たされた李首相とは関係なく毎日上昇を続けているが、味方がいない李首相は独りぼっちで過ごしていた。だがこの間、一体何を考えていたのか、離任式での発言にその一端が表れていた。「真実は必ず明らかになる」と「きょうは余白を残してこの場を去りたいと思う」という発言からは、李首相が辞任に際し、なぜ「大統領に迷惑をかけ申し訳ない」と口にしなかったのか想像が付く。李首相がいう「真実」とは、「金を受け取ってはいない」というものであり、世論に押されて自らを追い出した大統領を恨めしく思ったのかもしれない。

キム・グァンイル論説委員
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