スパイ冤罪の在日男性の人生 ソウルで来月舞台化

【ソウル聯合ニュース】母国留学中にスパイのぬれぎぬを着せられた在日韓国人の人生を描いた舞台が、来月15、16の両日にソウル市江南区の白岩アートホールで「離散アリラン」として上演される。

 在日韓国人2世の具末謨(ク・マルモ)さんは韓国の大学で博士課程を修了、講師をしていた1970年代初めにスパイ容疑で逮捕され有罪判決を受けた。1981年までの約10年間を獄中で過ごしている。その後、スパイの汚名を晴らそうと再審請求を申し立て、2012年に無罪判決を勝ち取った。一方、日本では平和統一聯合会長、ハングル教室の校長、在日本大韓民国民団(民団)東京新宿支部顧問、在日全南道民会会長を務めるなど、精力的に社会活動を行ってきた。

 具さんがスパイのぬれぎぬを着せられてから無罪を言い渡されるまでの40年を振り返ったのが、2013年に出版した自叙伝「離散アリラン」だ。

 具さんは28日、聯合ニュースの取材に対し、「私に悲しみを与えた祖国だが、憎むことも恨むこともできなかった」と語った。舞台化については、「個人の悲劇的な歴史だが、これが韓日の葛藤の解消と南北統一を今一度考える契機になれば」と話した。

 舞台「離散アリラン」は具さんの人生を現在と40年前の姿から描く。演出を手掛けるキム・スンドクさんは、今年は光復(日本による植民地支配からの解放)70周年と朝鮮半島分断70年にあたるとして、「(帰国事業で)北に渡った姉を具さんが懐かしがるように、今も終わらない分断の悲劇も舞台に盛り込んだ」と紹介した。

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