東北新幹線停電:切れた架線は年1回の検査、33年間使用
毎日新聞 2015年05月01日 22時18分(最終更新 05月02日 00時20分)
東北新幹線のJR郡山駅(福島県郡山市)付近で架線が切れ、長時間の停電が発生した問題で、切れた架線は年1回しか検査せず、開業以来33年間、一度も交換されていないことが分かった。問題の架線は下り線と上り線をつなぐ「渡り線」にあるため、本線より検査頻度が低く、老朽化などの異常が見過ごされた可能性もある。JR東日本は、検査に問題がなかったかも含め調査を進めている。
JR東によると、架線の寿命は一般に約40年とされるが、本線の架線はパンタグラフとの摩擦で生じる金属疲労による破断を防ぐため10日に1回程度、摩耗やひずみを専用車両で検査し、寿命を迎える前に交換してきた。
一方、切れた渡り線の架線を通るのは折り返しの始発など1日5本程度で摩耗なども進みにくく、開業時の架線がそのまま使用されていた。検査も年1回、たるみや金具の状態などを係員が調べるだけで、直近は昨年11月だった。数日前に地上からの目視で確認した際も異常は発見されなかったという。
切れたのは上り線と交差する手前の1カ所。切れた架線が車両などに接触してショートし、停電が起きたとみられる。直前に現場の上り線を通過し近くで停車した「やまびこ・つばさ136号」は2両目と4両目のパンタグラフが大きく破損しており、切れてたるむなどした架線と接触した可能性がある。
その25分ほど前に「やまびこ134号」が通過した際、短時間の停電が起き、134号のパンタグラフに軽度の変形があった。JR東は134号の通過時に渡り線の架線が損傷したとみて調べている。【本多健】