【社説】歴史的な安倍訪米と心配な韓国外交

 日本の安倍晋三首相が今月26日(現地時間)、7泊8日の日程で米国に向かった。安倍首相は最初の訪問地であるボストン近郊のケネディ図書館を訪れ、ジョン・ケリー国務長官の私邸で夕食を共にした。28日にはオバマ大統領と首脳会談を行い、29日には日本の首相として初めて米国議会の上下両院合同会議で演説する。ホワイトハウスのアジア担当局長は安倍首相の訪米について「日本が米国のアジア政策の中心だという事実を示すものだ」と述べた。米日双方が「歴史的な訪問」という表現を用い、ムードを盛り上げている。

 米日両国は安倍首相の訪米に合わせ、両国の外務・防衛担当閣僚が出席する安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、両国の軍事同盟の実戦マニュアルといえる「防衛協力の指針(ガイドライン)」を改定する。新たなガイドラインの核心となるのは、米軍と自衛隊が一体となり、全世界で合同作戦を繰り広げるということだ。米日両国がガイドラインの改定に乗り出した最も大きな理由は、中国の軍事的な拡張に立ち向かうというものだ。中国がアジアの覇権国家として独走するのを食い止めようという大義名分だ。国防予算の削減を迫られている米国と、多額の費用がかかろうとも「戦争のできる国」になることを望む日本の利害関係が一致した結果だ。

 両国はまた、安倍首相のの今回の訪米に合わせ、中国に対抗する経済ブロックともいえる「環太平洋経済連携協定(TPP)」についても、包括的なレベルの合意を発表する可能性が高い。両国の関係が軍事・安全保障に関する同盟にとどまらず、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を主導している中国に対抗するための経済同盟という意味合いも加えようという状況になっている。

 米国国内ではこれまで、安倍政権の歴史問題をめぐる暴走に対し懸念する声が高まっていた。米国の一部の議員たちは安倍首相に対し、今回の演説で「過去に対する率直な反省や謝罪の意思を表明すべきだ」と求めていた。だが、中国の浮上を意識した米国は、歴史問題を先に解決することよりも、日本との軍事・経済同盟を強化するという選択をした。このままいけば、安倍首相は29日の上下両院合同会議での演説はもとより、今年8月15日ごろに発表する予定の終戦70周年談話でも、(過去の反省や謝罪に消極的な)自らの普段の考えを強調する可能性が高まったとみるべきだ。

 安倍首相の訪米をきっかけに、米日関係はこれまでとは次元の異なる新たな段階に進むとみられる。米国は今後、韓日両国の軍事協力の強化をさらに強く求めてくる可能性が高い。中国もまた、このような流れを座視することはないだろう。日本の歴史認識や独島(日本名:竹島)をめぐる挑発は、軽視してはならない事案だ。だが、韓国が2年以上にわたり、日本の歴史問題の追及にこだわっている間に、中国と日本は最近首脳会談を行った。韓国の外交が、現在北東アジアで起こっている大国間の力関係の変化を十分に読み解き、賢明な対応をしているという信頼感を国民に与えているのかどうか、心配でならない。

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