慢性疲労症候群:3割重症、家事で悪化も…厚労省が初調査

毎日新聞 2015年05月02日 11時28分(最終更新 05月02日 16時50分)

 日常生活が困難になるほどの強い疲労や倦怠(けんたい)感が続く「慢性疲労症候群」の患者の3割が、寝たきりや、それに近い重症であることが、厚生労働省の初の調査で分かった。日常の家事や通院だけで動けなくなったり寝込んだりしてしまう人も多く、患者の厳しい実態が明らかになった。【下桐実雅子】

 推定患者数は全国で約30万人。感染症や脳内の中枢神経系の異常などとの関連が指摘されているが、発症の原因は不明。これまで国内では「慢性疲労症候群」との名称で知られていた病気だが、最近は患者団体などが「単なる疲れや怠けているわけではない」として、「筋痛性脳脊髄(せきずい)炎」と呼ぶようになっている。国の難病対策の助成対象には含まれていない。

 調査は、厚労省の委託を受けた聖マリアンナ医科大の遊道(ゆうどう)和雄教授らが昨年秋から今年1月に実施。医療機関で診断を受けた全国の患者251人(男性56人、女性195人。平均年齢42歳)に調査票を送り、それに基づいて電話や訪問などで聞き取りをした。

 その結果、「身の回りのことができず介助が必要で、終日起きられない」「日中の半分以上は横になっている」など寝たきりに近い重症の人が30%もいた。症状は「肉体的精神的疲労」のほか、「睡眠障害」「体温調節障害」「広範な痛み」が多かった。家事の後に症状が悪化する人は94%に達した。また重症者の96%が通院後にも寝込んでいた。仕事をしている人は28%にとどまり、仕事を辞めた人も多かった。

 現在困っていることは、「症状が耐え難い」が最も多く、「専門医がいない」「病気への無理解」「社会的な孤立」などが続いた。

 NPO「筋痛性脳脊髄炎の会」の篠原三恵子理事長は「重症患者の実態が初めて明らかになった。軽症でも日常的な家事で症状が悪化する深刻な病気のため、家事支援など公的な福祉サービスが必要だ。患者が身体障害者手帳を取得しやすくするほか、難病対策の対象にしてほしい」と訴える。

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