ウォール街が熱中して証券化、バブル想起させる新たな対象は
2015/05/01 23:30 JST
(ブルームバーグ):インターネットを通じて借り手と貸し手を結び付けるピア・ツー・ピア(P2P)レンディング。銀行を通じた従来の貸し借りを変えられないかとの発想は風変わりにみえたものだが、今やP2Pをあざ笑う者は誰もいない。ウォール街ももちろんのことだ。
誕生から10年足らずのP2Pは今や主流ビジネスの仲間入りを果たし、迂回(うかい)するはずだった大手金融機関の世界に取り込まれつつある。
P2Pビジネスに夢中なのは投資ファンドだ。ローン債権を直接買い上げ、これを銀行が束ねて証券化している。かつてのサブプライム住宅ローン証券をほうふつさせる。
こうして今、P2Pと最大手レンディングクラブ を含むこの業界の企業がデリバティブ(金融派生商品)の世界に引きずり込まれている。ウォール街の関与の強まりを歓迎する風潮がある一方、投資家がネットバブルや住宅ローンブームの時のように熱中し過ぎる可能性を警戒する向きもある。P2Pのための新たなデリバティブはリスクヘッジに寄与し得るが、市場に投機家を呼び込みかねないからだ。
「2000年に戻ったような感じだ」と語るのは、プロスパー・マーケットプレイスやソーシャル・ファイナンス を含め計15のP2Pプラットフォームに投資してきたQEDインベスターズのパートナー、フランク・ロットマン氏だ。「誰もが乗り遅れまいとしているが、追いかけている対象が何であるのか分かっているわけではなく、そこがちょっと怖い」と付け加えた。
投資家が熱狂するのも、この低金利の世界では無理もない。質の高いP2Pローンの利回りは約7.6%にもなる。一方、2年物の米国債利回りは1日に0.59%で推移している。
だが、P2Pの急速な拡大はそこにリスクが生じる可能性への警戒を高める。例えば、競争力を維持する目的で企業が基準を緩めないかという疑念が生じる。住宅ローンブーム時には、ウォール街の証券化マシンが疑わしい貸し付けをあおったものだし、関連デリバティブがリスクを世界中にまき散らし市場崩壊時に投資家の損失を膨らませたと言われた記憶は新しい。
原題:Wall Street’s Latest Craze Meets Small Short in Derivatives (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Tracy Alloway talloway@bloomberg.net;ニューヨーク Matt Scully mscully17@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Shannon D. Harrington sharrington6@bloomberg.net David Gillen
更新日時: 2015/05/01 23:30 JST