28日、米ホワイトハウスのローズ・ガーデンに設けられた共同記者会見場に、満足げな表情の安倍晋三首相がオバマ米大統領と共に登場した。日米首脳会談を終えた直後だった。記者会見用の文を発表する間、安倍首相は記者たちと絶えず目を合わせ、左手を前に伸ばしたり、人差し指を立てたりと自信に満ちたジェスチャーをした。そして、オバマ大統領を見て満面の笑みを浮かべた。
質問が始まると、空気が変わった。「第二次世界大戦時に日本が行ったことに対し謝罪をしかけたままだが、従軍慰安婦20万人に対する謝罪を今日する意向はありますか」。最初の質問をぶつけたのはAFP通信のアンドリュー・ビディ記者だった。
安倍首相の顔が一瞬固まった。だが、「準備された答え」の朗読が始まった。4-5秒に1回ずつうつむき、壇上の原稿をちらりと見た。その答弁は「慰安婦問題については、人身売買(human trafficking)の犠牲になった方たちの苦痛や苦難を考えると非常に胸が痛む」という言葉で始まった。両手の指を組んだまま、「前任者たちと私の考えは違わない」「河野談話を修正する考えはない」「日本は慰安婦問題解決のため努力した」などの文が続いた。前日、米ハーバード大学での講演で「従軍慰安婦を認めないのか」という韓国系学生の質問に答えたものと、文の順番までまったく同じだった。
「朗読」に危機もあった。「日本は『UNウィメン』などに2014年には1200万ドル(約14億2800万円)、今年は2200万ドル(約28億5700万円)を支援した」という部分を読んだ時、突然風が吹き、原稿が数枚、安倍首相の左肩後方に飛んでいった。安倍首相はちょっと笑うと周囲の人々に「大丈夫だ(just fine)」と言い、ゆっくりと答弁を読み続けた。締めくくりの文も前日ハーバード大学での答弁と同じだった。「21世紀は女性の人権侵害がない時代にならなければならず、これこそ私たちの強い決意だ」。落ちた原稿は米国人職員が素早く拾い上げた。