寺西和男=ロンドン、青田秀樹=パリ、榊原謙
2015年5月2日09時46分
仏自動車大手ルノーが4月30日に開いた株主総会で、仏政府が従来の約1・6倍にあたる28%ほどの議決権を握ることが決まった。日産自動車社長も務めるカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)ら経営陣は反対したが、及ばなかった。国内生産を増やしたい仏政府の影響力が強まり、提携する日産の経営にも影響が出る可能性がある。
「すべてはルノー、(日産自動車などとの)提携の利益のためだ」。パリ・ルーブル美術館そばの会議場であったルノーの株主総会で、ゴーンCEOは、大株主でもある仏政府が求める新しいルールの適用に反対する理由を強調したが、訴えは届かなかった。
仏政府は昨年、2年以上の株式保有に通常の2倍の議決権を与える法案を成立させた。株主が拒否すれば適用されないため、ルノー側は適用を拒む議案を株主総会に提出した。仏政府の影響力が増し、同じく大株主である日産自動車などとのバランスを崩しかねないと懸念したためだ。
仏経済省関係者によると、政府は一定の条件を示して議案の取り下げを求めたが受け入れられなかった。そこで、株の買い増しという実力行使に動いた。
ルノー側が議案を通すには3分の2以上の賛成が必要だった。しかし賛成は約6割にとどまり、新ルールの適用が決まった。仏政府の議決権は17・8%から28%ほどになる見通しだ。
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