男女平等化に対する近年の反動はなぜ起きるのか?

細谷 実


 20世紀の終わりには、雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法など、日本でもジェンダー平等化に向けての法整備がすすみ、一方で、別姓をめぐっての民法改正への反対、ジェンダーフリー教育への反対、自己決定能力育成の性教育への反対、従軍慰安婦の人権回復運動への反対など、いろいろな反発や反対の動きが存在していた。21世紀になって、これらがひとつにまとまった、フェミニズムの側から「バックラッシュ」と呼ばれる動きが急浮上し広まっている。いまや大きなうねりとなっているこの「バックラッシュ」の背景には何があるのか? その具体的な事情と、社会的・経済的背景、担い手の人々の関心や心理について考察する。

ほそや・まこと 1957年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、関東学院大学教授。倫理学専攻。著書に『性別秩序の世界――ジェンダー・セクシュアリティと主体』、『身体のエシックス/ポリティクス――倫理学とフェミニズムの交叉』(共著)など。