【動画】水俣病犠牲者の慰霊式=仲大道、籏智広太撮影
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 水俣病が公式確認されてから59年を迎えた1日、熊本県水俣市で、市などが主催する水俣病犠牲者慰霊式が営まれた。患者や遺族、原因企業チッソ、望月義夫環境相など行政関係者ら約700人が参列し、犠牲者を悼んだ。

 慰霊式では、同市の漁師杉本肇さん(54)が「不自由な体で懸命に訴え、心の溝を修復しよう、この町を再生しようと生きたこと、私たちは忘れません」と祈りの言葉を述べた。

 水俣病の認定患者は2277人(うち死者1856人)。今も熊本、鹿児島両県で1555人が認定を求めている。だが、国の認定基準が複数症状の組み合わせを必要とするのに対して、手足の感覚障害だけでも認定できるとの最高裁判決が2013年に出たことなどを受け、熊本県の認定業務は停滞。一方で、水俣病被害者救済法(特措法)から漏れた1千人以上が、国などに損害賠償を求めて提訴している。

 望月環境相は式後の記者会見で、こうした状況を「重く受け止めなければならない」と述べたが、被害者側との懇談では議論はかみ合わなかった。(斎藤靖史)