思わず耳を疑ってしまう。

 不通になっている日高線をめぐるJR北海道の物言いである。

 復旧は早くても4年後だ。それだけでも驚くのに、今度は工事費を捻出できないと言っている。近く、費用負担のあり方について国に相談するという。

 JRはこれまで沿線自治体に負担を求める考えも示してきた。経営が厳しいからといって、すぐ助けを求める。それで公共交通機関としての責務を果たしていると言えるのだろうか。

 日高線の再開に向けた考え方を、JRには根本から見直してもらいたい。

 日高線は1月の高波被害で線路脇の盛り土が流出し、路線全体の8割に当たる鵡川―様似間の116キロが不通になっている。

 マイカーを持たない人や通学客にとって重要な足だ。それが4年も使えないとなれば、さらに不便を強いられる。きのう、道がJRに、あらためて早期の再開を優先するよう求めた。当然である。

 そればかりではない。試算では、最小限の工事でも26億円かかるのに、JRが負担できるのは、本体工事とは別の工事道路の造成や施工計画策定に要する1億円強だけというのだ。

 その理由について、西野史尚副社長は「安全対策の費用は現時点でも不足している」と記者会見で述べた。確かにトラブル続きのJRは、老朽化した車両やレールの更新などに膨大な費用が必要だ。

 ならば、日高線の工費はどこが出すというのか。これでは計画を立てたところで、工事自体が宙に浮いてしまう。鉄道事業者としての当事者意識に欠けていると言われても仕方あるまい。

 沿線の首長から「列車のない生活に慣れることで廃線に向けた話が進むのを狙っているのではないか」との声も聞かれる。そんな疑念が広がるのもうなずける。

 そもそも現場の状況が深刻になるまで対症療法に終始し、抜本策を講じなかったのはJRである。

 危険箇所で運行してきた責任をどう考えるのか。そうした点からいっても、JRの主張には納得できない。

 JRは今後、代行バスの充実を検討する方針だ。

 代行バスについては本数が少なく運行時間帯も短いため、高校生の通学や高齢者の通院に支障が出ているとの不満も根強い。

 バスの運行時間を列車の場合と同様に設定する。不便を取り除くことにまず取り組むべきだ。