ネパール地震1週間:水も食料も物資も何も来ない

毎日新聞 2015年05月01日 22時27分(最終更新 05月01日 23時52分)

避難所で水や食料の配給の列に並ぶ被災者ら。地震から1週間が経過した今も多くの被災者がテントでの生活を余儀なくされ、配給の食料や水も十分ではない=カトマンズで2015年5月1日午後3時56分、望月亮一撮影
避難所で水や食料の配給の列に並ぶ被災者ら。地震から1週間が経過した今も多くの被災者がテントでの生活を余儀なくされ、配給の食料や水も十分ではない=カトマンズで2015年5月1日午後3時56分、望月亮一撮影

 【カトマンズ平野光芳、竹内良和】ネパール大地震の発生から2日で1週間を迎える。AP通信によると死者は1日、6260人に上り、周辺国を含めた犠牲者は6300人を超えた。また、中部シンドゥパルチョーク地区で約3000人が行方不明との情報があるほか、欧州連合(EU)の駐ネパール大使は、加盟国の観光客ら約1000人が所在不明だと明らかにした。一方、被災地では多くの人がテント暮らしを強いられ、支援物資も行き届いていない。ネパール政府の対応は後手に回り、物資の配給をはじめあらゆる面で混迷が深まっている。

 カトマンズ中心部にある首相公邸。1日、武装警官が目を光らせる監視塔のすぐ脇の空き地に6張りのテントが並んでいた。近所の数十人が集まる自主避難所だ。敷地にたまったゴミが異臭を放ち、ハエがしつこくまとわりついてくる。

 「水も食料も物資も、支援は何も来ない。そこに首相が住んでいるのに、なぜなんだ」。2畳ほどのテントに妻や子供ら6人で暮らす観光業のミラン・タマンさん(38)が吐き捨てるように言った。

 自宅アパートにひびが入り、料理や食事で家に戻る以外はテントで横になって過ごす。隣のテントで暮らすめいのアイサちゃん(7カ月)は、被災後ずっと下痢が止まらない。「政治家は選挙の時は都合の良いことを言うが、いざとなると何もしてくれないと分かった」。ミランさんが嘆いた。

 カトマンズでは普段から停電や断水が頻発し、市民は不便な生活には慣れっこだ。それでも被災者支援の遅れには多くの人が業を煮やす。

 「もう7日。私たちの支援物資はどこ?」。各国の支援物資が到着する国内唯一の国際空港「トリブバン空港」でこの日、約40人が模造紙を掲げて抗議していた。雑誌編集者、ソン・シンさん(44)は「世界中から集まった支援物資がここで止まっている」と怒った。

 警官が「空港ではなく政府庁舎でやりなさい」と声をかけると、参加者らは口々に「我々は物資の配布を手伝いたいだけだ」「国民は助け合うべきだ」と詰め寄り、騒然となった。

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