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日米の金融政策は幅広い視野で判断を

2015/5/1付
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 日本経済は今度こそ物価が持続的に下落するデフレから脱却できる公算が大きい。日銀が公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)は、そんな自信を示す内容となった。

 2015年度の消費者物価指数の上昇率(消費税率引き上げの影響を除くケース)は0.8%にとどまるものの、16年度は2.0%、17年度は1.9%になる、との見通しだ。

 足元の消費者物価上昇率が0%まで鈍化しているのは、原油価格の下落が主な原因だ。

 原油安の影響が一巡した後は、16年度にかけて潜在成長率を上回る成長が続くなかで徐々に物価上昇率が高まり、16年度前半ごろに2%程度に達する、という。

 金融市場の一部では、2%の物価安定目標をできるだけ早く達成するため、日銀が追加緩和に踏み切るとの予想が出ていた。

 仮に日銀が追加緩和に動くと一段の円安を招き、せっかく原油安で交易条件が改善している効果をそいでしまう可能性があった。

 わたしたちは、物価だけでなく経済全体を見据えて金融政策を柔軟に運営してほしい、と日銀に要望してきた。

 「2年程度で2%」としていた物価安定目標の達成時期がやや遅れるとはいえ、日銀が金融政策の現状維持を決めたのは妥当だ。

 今年の春季労使交渉では、ベースアップに踏み切る企業が相次いだ。賃上げが個人消費を後押しし、物価上昇に弾みがつくとの期待もある。まずはその効果を見極めようという日銀の姿勢は当然だ。

 だが、16年度中に消費者物価上昇率が2%に達するとみている市場関係者は少数だ。中国の景気減速や、ギリシャ情勢などの不確実な材料もある。日銀は忍耐強く市場と対話し、景気や物価の道筋を丹念に点検し続けてほしい。

 金融政策の微妙なかじ取りを求められているのは、米連邦準備理事会(FRB)も同じだ。

 米国の1~3月期の実質経済成長率は年率0.2%と急減速したものの、ドル高による輸出減などの一時的な要因が大きく、先行きは緩やかなペースで景気拡大が続くとFRBはみている。

 政策金利を上げる時期が早すぎても、遅すぎても、世界経済を大きく揺さぶるリスクは残る。FRBに求められているのも、景気・物価・雇用の先行きを常に総合的に判断する視野の広い構えだ。

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