TPP:「FTA大国」韓国、TPP発効で日本より不利に?

TPP発効でEUよりも巨大な自由貿易圏が誕生
FTAの弱点「累積原産地」、TPPでは完全に解決

■「FTA大国」韓国、TPP発効で日本より不利に?

 最も懸念されるのは、この巨大な多国間協定の発効により、韓国が苦労してつくり上げたFTAの枠組みが揺さぶられることだ。韓国はこれまでに、農業界などの反発を乗り越え53カ国・地域とFTAを結んだ「FTA大国」だ。一方、日本は自国の農業保護などが壁となり、FTAまたは経済連携協定(EPA)の締結国がシンガポールなど15カ国にとどまっている。だが、12カ国が交渉に参加するTPPが締結されれば、日本は一気にメガトン級自由貿易圏の主役となる。

 TPPの大きなメリットの一つは、FTAで未解決の「累積原産地」問題が完全に解決されるということだ。累積原産地制度は、韓国のように東南アジアなどに多くの工場を持つ国にとっては緊要だ。現行FTA制度の下では、例えば韓国の電子メーカーが韓国で製造した部品を使ってベトナム工場で完成品を作り、オーストラリアに輸出した場合、オーストラリア政府から関税を課される。オーストラリアはベトナムとFTAを結んでいるものの、第三国の部品を多く使用した場合は完成品をベトナム製と認めていないためだ。

 だが、TPPに参加すればこうした関税負担がなくなる。今のままTPPが妥結すれば、韓国と同様に海外で生産して先進国へ輸出するという貿易構造を持つ日本の企業にはるかに大きなチャンスが開かれる。国際貿易研究院のパク・チョンイル通商研究室長は「TPPの参加国に原材料生産国(オーストラリア、チリ)、主要中間財の生産国(日本)、組み立て国(ベトナム、マレーシア)、消費国(米国、カナダ)が全て含まれているため、FTAを無力化する『通商兵器』になり得る」と話している。

ワシントン=ユン・ジョンホ特派員
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