JR東:山手線9時間不通…線路に柱倒れ 41万人影響
毎日新聞 2015年04月12日 22時18分(最終更新 04月13日 01時56分)
12日朝、東京都千代田区のJR山手線神田−秋葉原駅間で、架線を支える線路脇の「電化柱」1基が倒れ、もう1基が傾いているのが見つかった。復旧作業のため、山手線と、並行して走る京浜東北線がいずれも9時間以上不通になり、715本が運休するなど約41万人に影響した。2日前の10日夜、問題の2基の電化柱が傾いているのに気付いたが、JR東日本は対処していなかった。うち1基は先端が山手線(内回り)のレールに接触しており、大事故につながる可能性があった。
◇列車通過3分前、通報
関東運輸局は12日、JR東に原因究明と再発防止を求める警告書を出した。JR東は同日、管内の全電化柱の緊急点検を始めた。
JR東によると、見つけたのは京浜東北線(北行)の運転士。午前6時10分ごろ、千代田区神田須田町2付近を走行中、倒壊に気付き、異常を知らせるボタンを押したため、近くの全列車が自動停止した。当時山手線は運行中で、次の内回り列車は約3分後に通過予定だった。倒壊直後に運転士が異常に気付いたため、事故を免れたとみられる。
倒れた電化柱は架線を支える柱状の構造物。1対の電化柱の間に橋状の構造物を渡し、その構造物などに架線を通して列車に電気を供給する。高さ約7メートル、直径約20センチ、重さ約1.3トンの鋼鉄製で、数十メートルおきに並んでいる。
現場付近では改良工事を進めており、順次新しい電化柱に取り換えていた。問題の電化柱は山手線外回りと京浜東北線南行の架線を支えるために残されたもので、1基が傾き、もう1基が横倒しになり山手線内回りのレールに触れていた。いずれも2001年に設置され、今月10日、現場近くの工事を担当していたJR東の社員らが傾いているのに気付き13日に改修する予定だった。
倒れた電化柱を巡っては、3月25日に電化柱につながる橋状の構造物を、その後線路をまたいで反対側の電化柱を、それぞれ撤去しており、JR東が関連を調べている。
現場は秋葉原駅から神田駅方面に約250メートルの地点。13日は始発から平常運転する。【一條優太】
永瀬和彦・金沢工業大客員教授(鉄道システム工学)の話 倒れた電化柱は一部の部品を撤去しているといい、このため強度が低くなっていた可能性がある。傾くのは異常事態。すぐに対策を取るべきだった。倒れ方によっては大惨事になりかねなかった。