ミラノ万博:1日開幕「食」テーマに来場2500万人予想

毎日新聞 2015年04月30日 18時26分(最終更新 05月01日 12時12分)

日本の報道陣に公開されたミラノ万博の日本館=2015年4月24日、福島良典撮影
日本の報道陣に公開されたミラノ万博の日本館=2015年4月24日、福島良典撮影
ミラノ
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 【ミラノ福島良典】「食」をテーマにした国際博覧会(万博)が1日、イタリア北部ミラノ郊外で開幕する。イタリアは半年間の期間中に約2500万人の来場者を見込んでいる。債務危機の影響が尾を引く中、政治・経済改革に取り組むレンツィ首相はイメージアップと景気浮揚の起爆剤にしたい考えだ。日本は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された和食を売り込み、農産物の輸出拡大や観光客の誘致を目指す。

 万博を巡っては工事の遅れが表面化。現場では突貫工事が続き、開幕当初は混乱も予想されるが、万博公社のジュゼッペ・サラ代表は「開幕日には全ての展示館がオープンする」と宣言。レンツィ首相は「昨年の時点では実現不可能と思われたが、私たちは賭けに勝った」と工事関係者の努力をたたえた。

 イタリア経済は「景気後退期から抜け出した」(パドアン財務相)が、失業率はユーロ圏平均(11.3%)を上回る12.7%と高止まりしている。ミラノのボッコーニ経営大学院によると、万博の中期的な経済効果は推定290億ユーロ(約3兆7600億円)。レンツィ首相は「万博景気」に期待を寄せる。

 万博には約150カ国・機関が参加。独自の展示館を設置する54カ国中、日本館は敷地面積約4170平方メートルで最大規模だ。「共存する多様性」をテーマにハイテクを駆使した映像や、体験型展示で「日本の農林水産業と和食文化を発信する」(加藤辰也・日本政府代表)。

 イタリアが加盟する欧州連合(EU)は従来の規定で日本の農水産物・畜産物の一部の輸入を規制しているが、「かつお節」や「ふぐ」などが特例措置として持ち込めることになった。福島県や宮城県石巻市は食品安全の取り組みを説明し、東京電力福島第1原発事故に伴う風評の払拭(ふっしょく)に努める。

 10月31日までの期間中、50〜70カ国の首脳がミラノを訪れる。イタリア政府は、極左集団の妨害行動やイスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)系のテロを警戒し、ミラノに約5000人の治安要員を配置する。

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