【共同通信社杯】47歳・神山が最高齢V「競輪が好き」
◆G2第31回共同通信社杯(29日・防府競輪)
決勝戦は29日、勝ち上がった9選手によって争われ、最終4コーナーでインを突いた神山雄一郎が抜け出し優勝。賞金2130万円(副賞含む)を獲得した。同選手は大会6回目(単発レースを含む)のV。47歳での優勝は45歳で「第55回高松宮記念杯」を制した松本整氏を抜くG1、2以上の最高齢記録。2着はまくった新田祐大、3着は稲垣裕之だった。神山の次回出走予定は5月8日に開幕するG3「松阪記念」。今シリーズの売り上げは88億7682万5600円で目標の95億円を下回った。
準決勝が終わり、決勝メンバーが確定した24時間前に、神山の頭の中にはVのイメージが出来上がっていたのかもしれない。ファイナルは山田久―稲垣裕の3番手を迷わず選択した。レースは最終1コーナー、逃げた山田の番手から稲垣がまくって出る。4番手から新田祐も反撃し、4コーナーでは稲垣が新田を自ら横に振る。目の前に開いたVロードを、神山が見逃すはずはなかった。「京都の2人に迷惑かけちゃったかな…。自分は事故点の関係で新田君を止めにいけなかったので」内容はともかく、大会6度目のVに「まさか自分が優勝できるとは。うれしいです」と素直に喜びを表した。
今月7日に47歳になったばかり。通算825勝目は、史上最年長ビッグ制覇の記録を大きく更新し、通算獲得賞金も27億円を突破。衰えを知らないレジェンドの原動力は、やはり探求心だ。「一戦一戦、自分の理想の形のレースを追求していくだけ。追い込みとしては山口健治さん、井上茂徳さん、伊藤公人さん、山口幸二さん、小野俊之君、高木隆弘君、佐藤慎太郎君、渡辺晴智君…それぞれ持ち味が違うけど、一番いいところを自分の身に付けられれば、勝ちに近づけると思うので」自身も超一流と呼ばれる選手だが、先輩、後輩を問わず学ぼうとする姿勢はさすがだ。
今年は山崎芳、新田のG1制覇で北日本に追い風が吹いていたが、関東の重鎮が意地を見せたことで、再び流れを引き寄せた。神山自身も獲得賞金ランク6位にジャンプアップ。2年連続16回目の「KEIRINグランプリ」出場も現実味を帯びてきた。「自転車が、競輪が好きだからね。追い込みならまだ新人のつもり。それが戦うモチベーション」ときっぱり。史上3人目のグランドスラマーが、唯一手に入れていない勲章―GP制覇へ、年末までさらに加速していく。(村山 茂生)
◆神山 雄一郎(かみやま・ゆういちろう)1968年4月7日、栃木・小山市生まれ。47歳。私立作新学院高卒。日本競輪学校61期生として88年5月、花月園でデビュー(〈1〉〈1〉〈1〉着)。93、97、99、2004、05年に「オールスター」、94、95年「高松宮記念杯」、95年「全日本選抜」、95、96、97、00年「競輪祭」、96、97、00年「寛仁親王牌」でV。99年の「日本選手権」を勝ってG1全冠制覇を達成。4日制の共同通信社杯は6回目の優勝。181センチ、87キロ。太もも61センチ。血液型B。