日米首脳会談:「辺野古揺るぎない」 普天間移設で首相

毎日新聞 2015年04月29日 21時24分

 【ワシントン高山祐、飼手勇介】安倍晋三首相は28日午前(日本時間同日夜)、オバマ米大統領とホワイトハウスで約2時間会談した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、首相は、県内移設に反対する翁長雄志(おなが・たけし)知事の意向を伝えたうえで「名護市辺野古への移設が唯一の解決策だという立場は揺るぎない」と述べた。両首脳は、米軍嘉手納基地(嘉手納町など)以南の6施設・区域の返還や普天間飛行場の5年以内の運用停止など沖縄の負担軽減に協力して取り組むことを確認した。

 両首脳は会談後に共同記者会見し、首相は「私たちは半世紀を上回る日米同盟の歴史に新たな一ページを開いた」と成果を強調した。

 会談で両首脳は、集団的自衛権の行使を含む日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定を歓迎した。これに関連し、オバマ氏は会見で「軍事力を急に大きくすることを日本に期待するのではなく、日本がほかの同盟国と同様、新しい脅威に対抗していくことを望む」と表明。安全保障分野での日米の協力強化が中国との緊張を高めるのではないかとの見方については、「日米の強い同盟が挑発とみなされるとは考えていない。中国の平和的な台頭は支持する」と否定した。

 会談では、南シナ海などへの中国の進出についても意見交換し、一方的な現状変更の試みを認めないことで一致した。オバマ氏は、沖縄県・尖閣諸島が日米安全保障条約の対象になると改めて明言した。

 両首脳は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が「地域の経済的繁栄だけでなく安全保障にも資する戦略的意義を持つ」との認識を共有。日米が交渉を主導し、早期妥結を目指す方針を確認した。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)については、アジアのインフラ需要に応える金融システムの重要性を踏まえつつ、運用の透明性確保を求めた。オバマ氏は会見で「中国が開発プロジェクトに投資すること自体は非常に前向きだ。AIIBに反対しているわけではない」と述べた。

 2030年の温室効果ガス削減目標について、首相は会談で「(6月の)主要7カ国(G7)首脳会議で、国際的に遜色のない野心的な目標に関する日本の考え方を説明したい」と述べた。

 会談には岸田文雄外相、中谷元防衛相、バイデン副大統領、ケリー国務長官、カーター国防長官らが同席した。

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