悪ガキたちが目指したスタンド・バイ・ミーは、デパートの屋上だった
阿倍野ハルカスが一躍有名になった天王寺ですが、その昔、阿倍野ハルカスがあった場所には、近鉄百貨店の屋上がありました。
私がまだ小学校の低学年だったころ、六人の悪ガキたちと一緒に、デパートの屋上へ出かけたことがあります。
あの当時のデパートの屋上と言うのは、我々悪ガキたちにとっては、今で言うところの、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンか、はたまたディズニーランドくらいのインパクトのある場所でした。ちょっとオーバーかもしれませんが、なんせ半世紀も前の話なんですから、今の尺度では計りきれない、孤高の存在であったのは、紛れもない事実です。
デパートそのものが、私たちにとっては大きな宝石箱のようなものだったし、その屋上といったら、それはもう、まさに別世界です。
何が別世界かというと、たいていのデパートの屋上には遊園地にあるような乗り物が置いてあったのです。観覧車まであったんだから、驚きです。
ケーキの上に乗っかったチョコレートみたいな感じでした。
しかもそこにはチョコレートだけではなくて、レストランまであったのですから、夢のような世界と言っても言い過ぎではないと思います。
そのレストランへ、私たち悪ガキ六人は乗り込みました。
まさに、スタンド・バイ・ミー状態ですね。
あの頃のレストランはたいてい、券売機で券を買って席に着きます。するとウエイトレスのお姉さんが、私たちのテーブルにやってくるわけです。お水の入ったコップを六個、お盆に載せて、いらっしゃいませ、などと言いながら、接客をしてくれるんです。
当たり前のことだと思うかもしれませんが、あの頃の子供の服装といったら、半ズボンにランニングシャツというのが定番で、青い鼻水がワンポイントなんて子も珍しくなかった時代ですから、我々を客として扱ってもらえるなんて、ただそれだけでもメルヘンな出来事でした。
ところが私たちが買った食券は、ライスが三つです。
悪ガキは間違いなく六人いましたが、残念ながらライスの数は、全部で三つでした。記憶違いではありません。それでもあの当時のウエイトレスさんは、顔色一つ変えることもなく、食券を受け取った後、店の奥に下がります。
待つことしばし、やがてライスの皿を三つ、両手と腕の中央に載せて運んでくれました。
今なら、保護者がいないせいで通報されても文句は言えない状態です。服装チェックで、そもそもレストランへの入室を許されなかった可能性も、十分にあります。
私が言うのもおかしいですが、とにかく、小汚い連中でした。
ライスの皿がテーブルの上に置かれると、私たちは早速、調理を始めます。
調理といっても、ソースをこってりと白いご飯の上にかけるだけの簡単レシピ、ところがあのころの私たちにとっては、ただそれだけのことで、洋食気分になったのだから、想像力というのはあまりにも偉大です。前置きが長くなりましたが、食事の時間は極端に短かったです。
ライス三つに6人の悪ガキが待ち構えていたわけですから、まさに、瞬殺です。食事に対して瞬殺という言葉は適切ではありませんが、他にぴったりの形容がどうしても思い浮かびません。
とにかく、瞬殺でした。
食事が終わると、屋上のあちこちを探検しに行きます。
近鉄百貨店の屋上はかなり広くて、遊園地の乗り物以外にもいろんな施設がありました。その中でも特別、私たちが気に入っていたのはペットショップでした。一人っ子だった私は、小さいころから犬を飼うのが夢でした。
蛇足ですが、それから数年後、私はついに、近鉄百貨店の屋上のペットショップで、最高の友達と出会うことになるのです。
今日はこれくらいにしておきます。
最後まで読んでくれて、本当にありがとう。私たちの子供のころは、貧しいのが当たり前の時代でした。でもみんながみんな貧しかったから、それほど人を羨んだことはありません。
貧しくても楽しかったのは、世の中に活気があったからでしょうか。それとも私が若かったせいでしょうか。若さに限りがあるなんて、あのころの私には思いもよらず、時間を浪費したかもしれないと、ほんの少し悔やんでいます。
過ぎ去ると決して手に入らない、百万ドルの日々を、どうか大切に使ってほしいと、私は心から願っています。
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