「マインクラフト」(Minecraft、マイクラ)が、日本の小学生の間でブームの兆しを見せている。仮想世界で冒険やもの作り、建築などが自由に楽しめるスウェーデン発のゲーム。2009年の公開当初から海外ゲームファンの間では人気だったが、ここ数年で小学生のユーザーが劇的に増え、高学年のクラスなら数人は遊んでいることが珍しくなくなってきたという。
メディアも注目し始めている。小学生向けコミック誌「コロコロコミック」(小学館)は昨秋から継続的に特集を展開。小学生向けテレビ番組「おはスタ」(テレビ東京系列)でもレギュラーコーナーとして取り上げられている。マインクラフトで遊ぶ様子を実況するYouTube動画も人気で、ヒカキンさんら人気のYouTuberによる実況動画が数百万人単位の視聴者を集めている。
マインクラフトは決して簡単なゲームではない。操作法やルールを身に着け、創意工夫して初めて楽しめるゲームで、機種によっては日本語化もされていない。それでも子どもたちは自ら遊び方を学び、大人の手をほとんど借りずに楽しんでいるようだ。ブームもメディアやメーカーが仕掛けたのではなく、子どもたちから自然発生し、口コミで広がっている。
子どもたちはどのようにマインクラフトを知り、どう楽しんでいるのだろうか――実際に遊んでいる子どもの意見や、小学生向けにマインクラフト特集を展開している「コロコロコミック」編集部の声からひもといてゆく。
マインクラフトを開発したのはスウェーデンのMojang(Microsoftが買収)だ。2009年に公開されたPC版を皮切りに、スマートフォンや家庭用ゲーム機にも移植され、世界5400万人以上がプレイするロングセラーとなっている。「世界を救う」といった目的は設定されておらず、ブロックでできた広大な世界で、冒険したり家を建てたりしながら、自分のスタイルで生活を楽しめるのが特徴だ。
日本の子どもたちに広がったのはいつごろだろうか――ブームの源泉を知るため、小学生のころからマインクラフトにハマっているという子ども(現在は小学校中学年〜中学生)4人について、それぞれの保護者に、子どもがマインクラフトを知った時期やきっかけなどを尋ねた。
時期は12年〜14年とばらつきがあり、きっかけは、YouTubeのプレイ動画や友達・親戚からの口コミだった。「学校の友人がスマホでやっているのを見て楽しそうだった」「親戚が遊んでいた」など実際に遊んでいるのを見て興味を持った子も。YouTubeでプレイ動画を見て興味を持った後、友人が遊んでいることを口コミで知ったり、口コミで知ってからプレイ動画を見るなど、動画・口コミ両方が絡み合い、子どもたちの興味を刺激しているようだ。
マインクラフトのプレイ動画は10年ごろからYouTubeやニコニコ動画にアップされ始めており、14年半ばごろからヒカキンさん、ぐっちさんなど子どもに人気のYouTuberに広がった。PCやスマートフォンに加え、「ニンテンドー3DS」などゲーム機からもプレイ動画を見ているようだ。基本的な操作を解説している動画もあり、操作方法などを手軽に学べる上、冒険や建築の様子を動画で見るだけでも楽しく、実況からマインクラフトの魅力を知る小学生が多いのもうなずける。
小学5年生の娘を持つコロコロコミックの和田誠編集長代理がブームの兆しを感じたのは2013年の秋ごろ。おもちゃメーカーやゲームメーカースタッフと情報交換する中で、「うちの子がマインクラフトにハマっている」という話が複数人から出たという。同じころ、当時3年生だった和田さんの娘も、マインクラフトで遊んでいることが分かったという。
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