IT(情報技術)業界では、せきを切ったように同種の製品やサービスが次々と登場することがある。そんな「バブル」状態となっている最近の注目トピックが「オウンドメディア」だ。企業が独自のメディアを作り、記事やニュースを発信する。ただ、広報誌や従来の企業サイトと「違いが分かりにくい」、あるいは「宣伝ばかり」という声もある。新たな販促手法として定着するか、一時的な流行のバズワードで終わるか。実像を分析した。
■機内誌風の「読み物」が中心
オウンドメディアとは、文字通り「企業が自ら作る情報配信の媒体」のこと。実は紙冊子の広報誌や、従来の製品を紹介するWebページも広義のオウンドメディアと見なせる。
現在、注目されているネット上のオウンドメディアには特徴がある。直接商品を紹介するのではなく、雑誌のように記事を掲載するスタイルを取っていることだ。イメージとしては、飛行機の機内誌や新幹線の車内誌に近い。機内・車内誌は、観光地の紹介や乗務員のコラムなどを記事として掲載している。読み物としても楽しめるようになっているのだ。
資生堂やサントリーなど有力企業のオウンドメディアを支援するインフォバーンの今田素子CEO(最高経営責任者)は、オウンドメディアを「企業が発信したい情報を、生活者が読みたいコンテンツにして発信するメディア」と定義する。
ネット上で展開するオウンドメディアの先駆けは、トヨタが運営する「GAZOO.com(ガズードットコム)」だ。若者をターゲットに車への興味関心を高めることを狙いとして1998年にオープンした。ドライブスポット、ショッピング、人気ブログのランキングなど情報が幅広くそろう。編集部の独自記事に加え、自動車ニュースサイトの配信も受けている。トヨタのサイトであるにもかかわらず、ロードスター(マツダ)やステップワゴン(ホンダ)の記事もある。競合他社を取り上げてでも、自動車を楽しむライフスタイルを提案することで「車離れ」が進む若者を呼び込もうというわけだ。
その後、多彩な企業がオウンドメディアを開始した。花王の「マイカジスタイル」は洗濯や掃除のコンテンツを絞り込んでいる。外部ライターを起用しており、記事の内容は花王が監修しないことが注記されている。ライオンの「Lidea(リディア)」の扱うテーマは暮らし全般と幅広い。読者が会員登録すれば専門家に質問できる機能がある。
オウンドメディア、今田素子、ステップワゴン、情報技術、インフォバーン、トヨタ、ロードスター、CEO、三越伊勢丹HD、フェイスブック、サイボウズ、リクルートキャリア、サントリー、ツイッター、ぐるなび、はてな、資生堂、花王
IT(情報技術)業界では、せきを切ったように同種の製品やサービスが次々と登場することがある。そんな「バブル」状態となっている最近の注目トピックが「オウンドメディア」だ。企業が独自のメディアを作り、記…続き (5/1)
トヨタは「ドライブ」、資生堂は「美容」、伊勢丹は「ファッション」。会社概要や製品情報を紹介する従来のサイトとは異なり、仕事や生活に役立つ記事やニュースを発信する「オウンドメディア(企業自らが運営する…続き (4/17)
東日本大震災で注目されたソーシャルメディアを通じた情報発信や支援活動。5年目に入った被災地ではどう生かされているのか、ヤフーが事務所を置いている宮城県石巻市を訪ねた。見えてきたのは簡単ではない地方の…続き (4/3)
各種サービスの説明をご覧ください。
・ソニー、TV事業の黒字定着へなお改革
・海信集団、日本市場にタブレット投入
・蘭モービルアイ、トラック・バスの巻き込み事故、小型カメラで防止
・明治HD、バイオ医薬量産へ参画
・武田、138期目の赤字…続き