皆様、兵庫県立姫路西高等学校のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。私は、平成27年4月1日付人事異動により第36代校長として着任した尾﨑でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、今回の巻頭言では、4月8日に挙行した第70回入学式での式辞を掲載いたします。なお、当日午前中に実施した平成27年度前期始業式にて、在校生に対しても同じ趣旨の話をしたことを申し添えます。
式 辞
平成の大修理を終えた世界文化遺産、国宝姫路城が春の空に白く輝いて佇んでいます。城を取り巻く桜も美しく咲き乱れ、まさに春爛漫の今日の佳き日に、PTA会長三田智也様、白城会理事長安平和彦様、後援会長梶山芳博様をはじめ、多数のご来賓、保護者の皆様のご臨席をいただき、ここに兵庫県立姫路西高等学校第七十回入学式を挙行できますことは、本校にとりまして大変大きな喜びであり、衷心より厚くお礼申し上げます。
保護者の皆様におかれましては、ご子弟のご入学、誠におめでとうございます。新通学区域での初めての入学者選抜ということで、ご心労が多々おありであったのかと思いますが、それだけに、今日のお喜びはまたひとしおではと、拝察しております。
さて、先ほど入学を許可いたしました二百七十四名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんはただ今から、名実ともに姫路西高校の一員となりました。今、皆さんは、これから始まる高校生活への期待と喜びで胸が一杯だろうと思います。これから本校で過ごす高校生活が、とても充実したものになるよう、教職員一同全力で指導、支援していく所存です。ここで本日の入学式にあたり、私の思うところを三点ほど述べ、歓迎の言葉にしたいと思います。
第一に、「本校生徒としての誇りと自覚を持って、真剣に努力する」ということです。皆さんもよくご存じと思いますが、本校は明治十一年の創立以来、百三十年以上の歴史を有する兵庫県下有数の伝統校・進学校であり、これまで三万二千人を超える優れた人材を社会に送り出してきました。先月、大変惜しまれながらお亡くなりになった上方落語界の重鎮で、人間国宝の桂米朝師匠も本校の卒業生のおひとりです。
そのような姫路西高生の一員であるということに誇りと自覚を持って、高校生活を真剣に取り組んでください。「真剣に努力する」というのは、三年間の高校生活を一日たりとも疎かにせず、自己の成長のために、全力で取り組むということです。本校の教育目標は「豊かな人間性と幅広い学力を兼ね備え、将来のリーダーとして国際社会や地域社会に貢献できる人間を育成する」というものです。皆さんは、そのようなリーダーになれる可能性を秘めた逸材ばかりではありますが、一方、それは人並みの努力をしたのでは叶うものではありません。
政財界のリーダーの精神的支柱であった安岡正篤先生の著書の中に、このようにありました。「秀でた者となるためには、人の数倍の努力と苦労をしなければならない。人の寝るところは半分にし、人の食うところは半分くらいにしても、努力するところは人の十倍も二十倍もやるだけの元気がなければならぬ」。これは大変厳しい言葉ですが、私は本校の生徒ならやり遂げられると確信しています。
第二に、「目標をしっかりと持つ」ということです。ノーベル生理学医学賞を受賞された京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥先生が、アメリカのグラッドストーン研究所に留学していたころ、恩師から、研究者として成功するために大事なこととして、「VW」という言葉を教わりました。「VW」とは、ビジョンの「V」とワークハードの「W」の頭文字のことです。長期的な展望としっかりとした目標を持ち、一生懸命に努力を重ねれば、その一念は必ず叶うということです。日本人はワークハードについては世界に誇れますが、ビジョンをはっきりさせることなしに、とにかく一所懸命実験しているだけ、努力しているだけという状態に陥りがちだと、山中先生は指摘しています。
このことは、皆さんの高校生活でも同じではないかと思います。ただ、がむしゃらに勉強するだけでは、大きな成功には結び付きません。自分は将来、このようなことがしたいという夢を描き、そのためには、どの大学で学びたいというような明確な目標を持った上で、努力に努力を積み重ねることが大切です。また、人間は目標を持つことによって、努力を推進するエンジンが本格的に始動するのです。
第三に、「常に感謝と喜びの気持ちを忘れない」ということです。本日皆さんが本校入学式の場に立てるのは、自分だけの力によるものでしょうか。そのようなことは決してないことは自明でしょう。何よりも保護者の方々が、心からの愛情で、真心こめて育ててくださったから、現在の皆さんがあるのです。ご親戚や地域の方々等のご支援があったから、現在の皆さんがあるのです。小学校や中学校の先生方等の心温かいご指導があったから、現在の皆さんがあるのです。
そして、これからはPTAの皆様や、白城会の皆様のご支援をもいただくことができるのです。このように、保護者の方々を第一に、多くの方々の支えがあって、本校で高校生活を送ることができるのだということを、決して忘れてはなりません。常に感謝と喜びの気持ちを胸に秘めながら、日々の生活を過ごしていってください。そのような謙虚な気持ちを持つことにより、皆さんは成功へと、幸福へと導かれていくでしょう。
以上、皆さんに三つのことをお話ししました。「本校生徒としての誇りと自覚を持って、真剣に努力する」。「目標をしっかりと持つ」。「常に感謝と喜びの気持ちを忘れない」。一見して簡単なことばかりですが、そのようなことにこそ真理はあるのです。どうか、皆さんのこれからの健闘を、心より祈念しております。
最後になりましたが、ご来賓、保護者の皆様から本校にいただいておりますご厚情とご支援に対しまして、厚く御礼申し上げます。今後とも、変わらぬご協力、ご鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、式辞といたします。
平成二十七年四月八日
兵庫県立姫路西高等学校 校長 尾﨑 文雄
平成27年4月
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