安倍首相演説:米議会は評価 大戦や女性保護に触れ

毎日新聞 2015年04月30日 11時24分(最終更新 04月30日 11時52分)

 【ワシントン西田進一郎】安倍晋三首相が29日に行った米上下両院合同会議での演説に対し、議場に詰めかけた議員らは繰り返しスタンディングオベーションを送った。第二次世界大戦で犠牲となった米軍兵士に「深い悔悟」を示したほか、女性の活躍や紛争時の女性の人権保護などにも触れた内容から、議会には演説を評価する声が相次いだ。

 首相は大きな拍手が鳴り響く中、ペロシ前下院議長(民主党)やマコネル上院院内総務(共和党)らを率いる形で下院本会議場に入った。約45分間の演説中、スタンディングオベーションは10回以上に及んだ。「女性に力をつけてもらうため、古くからの慣習を改めようとしている」、「女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけない」と決意を語った部分や、東日本大震災の際の米国からの支援への謝意を示し、「私たちにはトモダチがいた」と話した場面で、大きな拍手が起こった。

 合同会議を主宰し、首相の後ろで演説を聞いたベイナー下院議長(共和党)は、「演説は米国の人たちを敬うもので、第二次世界大戦でたおれた英雄たちへの温かい言葉に深く感謝する」との声明を演説後に発表。共同通信によると、バイデン副大統領は記者団に対し、首相が「痛切な反省」を表明したことについて、歴史問題で「責任が日本の側にあることを非常に明確にした」と述べて評価する考えを示した。

 また、デラニー下院議員(民主党)は議会内で「日米関係を歴史的な文脈でとらえ、両国の経済的、地政学的な重要性を主張した印象的な演説だった」と評価。コーエン下院議員(同)も「第二次大戦による死や悲しみを認めたこと、女性(の活躍や人権保護)に言及したことは適切だった」と語った。

 安倍首相は29日夕、共和、民主両党の上院指導部と懇談した。マコネル氏は「演説は素晴らしかった」と語ると、首相は「半世紀ぶりの貴重な機会に、日米同盟の重要性を改めて強調できたことは、間違いなく今回の訪米のハイライトだ」などと答えた。

最新写真特集