安倍首相演説:元慰安婦支援団体が批判「責任回避だ」
毎日新聞 2015年04月30日 11時49分(最終更新 04月30日 13時56分)
【ワシントン和田浩明】安倍晋三首相は29日の演説で、第二次世界大戦に対する「痛切な反省」を表明しアジア諸国に「苦しみ」を与えたなどと述べたが、直接的なおわびの言葉はなく、旧日本軍の元従軍慰安婦を支援する米国の韓国系団体や一部議員、元米軍人団体からは「責任回避だ」「謝罪すべきだ」との批判も聞かれた。
安倍首相は歴史問題で歴代内閣の立場を引き継ぐと表明したが、会場の米連邦議事堂付近で抗議活動をしていた「ワシントン慰安婦連合」の徐玉子(ソ・オクチャ)顧問は「首相が代われば立場が変わるかもしれない」と指摘、国会決議などによる確認を求めた。
元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(86)を傍聴に招いたマイク・ホンダ下院議員(民主党)は、慰安婦問題で謝罪がなかったと指摘した上で「安倍首相が日本政府の(戦争)責任から逃れ続けていることに衝撃を受けた」と反発。安倍首相が女性の人権擁護の必要性に言及したことに触れ、「(まずは)過去の罪を認めなければ歴史は繰り返す」などと批判した。
第二次大戦中に旧日本軍が米軍などの捕虜に対してフィリピンで強いた「バターン死の行進」生存者らの団体「全米バターン・コレヒドール防衛兵の会」は声明で、首相が米兵死者に哀悼の意を表明したことに関し、「日本が始めた戦争の犠牲者に同情を寄せることに深い憂慮を覚える」として謝罪を伴わない「反省」を批判した。