安倍首相演説:米メディア、TPPや安保に焦点
毎日新聞 2015年04月30日 12時02分
【ワシントン和田浩明】安倍晋三首相が29日に行った米議会演説に関する米主要メディアの報道は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の売り込みや、日本が安全保障分野でより国際的、積極的役割を果たすとの説明に注目したものが目立った。一方で、歴史問題で明確な謝罪がなかったことに触れる記事もあった。
ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は「安倍首相が議会演説で貿易協定を支持」との見出しで記事を掲載。米国で組合などを支持基盤に持つ与党民主党にTPPに対する強硬な反対論があることに触れ、「首相の売り込みに懐疑派説得の効果があったかは不明だ」とした。韓国系米国人団体から慰安婦問題での謝罪要求があることも紹介し、演説や訪米中の公式発言では「新たな謝罪はなかった」と報じた。
ニューヨーク・タイムズ(電子版)もTPPに焦点をあて、日米間で難航している交渉に関し「具体的な妥協策を示さなかった」と指摘。慰安婦問題でも演説には具体的説明がなかったとの評価を示した。
AP通信は安倍首相が第二次世界大戦での米兵死者に哀悼の意を表したが大戦中の旧日本軍の残虐行為には謝罪がなかったとの記事を配信。ワシントン・ポスト(電子版)は、日米同盟強化を安倍首相が演説で強調したと伝え、「(日本が)世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく」との発言を紹介した。