(2015年4月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ネパール・カトマンズで、大地震によって崩壊した世界遺産の「ダルバール広場」〔AFPBB News〕
春はネパール人が結婚式を挙げ、カトマンズに外国人観光客が訪れる季節だ。4月には通常、「アンナプルナ」や「ヤク&イエティ」といったホテルがパーティー参加者と行楽客であふれかえる。
だが、5000人以上の死者を出した4月25日の地震のために、宴会・会議場は空っぽになり、観光客の代わりにテレビ局の取材班が詰めかけることになった。
救助隊員がカトマンズ渓谷の崩壊した建物のがれきの中から遺体を引っ張り出し、壊滅的な被害を受けたヒラマラヤの山裾の村に行こうと奮闘する一方で、ネパール国民は困窮した200億ドル規模の経済がどうやって行く手に待ち受ける復興の課題に対処するのか疑問に思っている。
カトマンズのダルバール広場の建物を含め、歴史的な建造物や観光名所が地震で崩壊したことは、国外で特に大きな関心を呼び、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のイリナ・ボコバ事務局長は破壊を「大惨事」と呼んだ。
歴史的な建造物や観光名所が損壊
「我々は多くの歴史を失い、観光客が訪れる多くの重要な名所を失った」。ホテルアンナプルナの飲食担当幹部、ディーペクシャ・ラナ氏はこう言う。「その復元は、また別の大問題になる」
マグニチュード7.8の地震の後で経済復興にかかる費用の試算はさまざまだが、ネパール連立政権の財務相を務めるラム・マハト氏は最大で100億ドルに上ると見ている。