小渕優子氏:元秘書ら2人を在宅起訴 本人は不起訴処分に
毎日新聞 2015年04月28日 20時43分(最終更新 04月28日 21時05分)
◇政治資金規正法違反事件 虚偽記載額は3億2000万円余に
小渕優子前経済産業相(41)の関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は28日、いずれも元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎被告(66)と、資金管理団体「未来産業研究会」(未来研)の元会計責任者、加辺守喜被告(62)を同法違反(虚偽記載)で在宅起訴した。小渕氏本人は関与が薄いとして不起訴処分(容疑不十分)とした。認定した虚偽記載額は2009〜13年の5年分で3億2000万円余に上った。
起訴状によると、折田前町長は、未来研から「小渕優子後援会」(後援会)など2団体に計約5600万円を「寄付」したとの虚偽の収支を、各団体の09〜13年分の政治資金収支報告書に記載。さらに支援者向けの「観劇会」について、実際は計約1億4400万円あった収入を計約2100万円に、計約8700万円だった支出も計約6000万円に、3団体の収支報告書に過少に虚偽記載した。加辺元秘書は一部を共謀した。虚偽記載額は収入、支出の双方が認定される。
関係者によると、小渕氏の父の故恵三元首相から引き継がれた未来研では、観劇会が始まった07年以前から飲食・交際費などを中心に、収支報告書に記載しない簿外支出が慣例的に続いていた。このため実際の資金残高は、報告書に記載された翌年への繰越金を大きく下回っていた。
このズレに加え、毎年必要となる新たな簿外支出を帳消しにするため、未来研の簿外支出分を架空の寄付で2団体に付け替え、収入が実際より多くなる2団体側で観劇会の収入を過少記載したとみられる。関係者によると、折田前町長は特捜部の聴取に「簿外支出を隠すためにつじつま合わせをした」と起訴内容を大筋で認めているという。
一方、有権者らに小渕氏の顔写真が印刷されたワインを贈ったなどとする公職選挙法(寄付)違反での告発について、特捜部はいずれも不起訴処分(容疑不十分)とした。【吉住遊、石山絵歩】