日歯連強制捜査:絶えぬ「抜け道献金」内部からも批判の声

毎日新聞 2015年04月30日 13時25分(最終更新 04月30日 14時45分)

日歯連からの寄付の流れ
日歯連からの寄付の流れ

 またもや政治とカネを巡る問題に捜査のメスが入った。小渕優子前経済産業相の関連政治団体を巡る事件で元秘書2人が在宅起訴された2日後の30日、東京地検特捜部が日本歯科医師連盟(日歯連)の迂回(うかい)献金疑惑で強制捜査に乗り出した。日歯連は2004年にも自民党旧橋本派への裏献金事件などで特捜部の捜査を受け、これを機に政治資金規正法が改正された。政治家を巡るカネの闇は深い。

 政治団体間の寄付については、日歯連の自民党旧橋本派への1億円裏献金事件(04年)を機に、政治資金規正法が改正され、年間5000万円が上限と定められた。しかし、その後も別の団体を経由させることで、上限を上回る額を寄付させる「迂回献金」が疑われるケースがさまざまな団体で発覚。堂々と脱法的な行為が行われ、今回の問題では、日歯連の組織内からも疑問の声が上がっていた。

 資金が流れた「石井みどり中央後援会」と「西村まさみ中央後援会」は日歯連の事務所と同じビルに入居しており、ビルの外には二つの後援会の案内看板が立っていた。代表者も事務担当者も電話も同一。それでも日歯連関係者によると、会計担当者は「極めてテクニカルな要素(で問題はない)」と説明していたという。

 この問題は今年1月の日歯連評議員会で取り上げられ、表面化した。会員が、収支報告書の掲載されている総務省のホームページを見て、疑問の声を上げたのがきっかけだという。参院選を前に、ルールの上限を超える計9500万円の資金が日歯連から出ていた。評議員の一人は2月、毎日新聞の取材に「10年前の事件で苦労した。またしくじるのは良くない。疑念を持たれないようにすべきだ」と話した。

 西村正美参院議員の所属する民主党の同僚議員の一人は、2月に問題が発覚した直後、本人に事実関係を尋ねたという。この時、西村氏は「まったく知らない。日歯連には長年自由に金を扱える人間がいる。そのような仕組みになっていることが問題なので、むしろ全容が明らかになってほしい」と語ったという。これを踏まえ同僚議員は今月30日、取材に「西村議員の話は本当だと思う。私も捜査を通じて解明されることを願う。企業・団体献金はいろいろと抜け道があるので、一切禁止すべきだ」と語った。【青島顕、関谷俊介】

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