成人式:ちばてつやさん涙の訴え 戦没画学生の絵を前に
毎日新聞 2015年04月30日 18時13分(最終更新 04月30日 18時40分)
「あしたのジョー」で知られる漫画家のちばてつやさん(76)は29日、戦没画学生108人の油絵など約600点を収蔵・展示する美術館「無言館」(長野県上田市古安曽)で開かれた成人式に招かれ、県内の14人を含め宮城県や徳島県から集まった計26人の新成人を前に、敗戦後に中国から帰還した体験を交え「いい日本をつくってください」と激励した。【川辺和将】
ちばさんは祝福の直筆メッセージを26人に手渡した。スピーチでは「戦争世代」の責任に言及しつつ、涙に声を詰まらせながら「世界中の人が尊敬する、いい国にしてください」と呼びかけた。
館主の窪島誠一郎さん(73)は新成人に、「戦地で亡くなった画学生たちはあなたたちに(中略)一束の花束も捧(ささ)げはしない。あなたに与えたものがあったとしたら それは一冊の真っ白なスケッチ帖(ちょう)だ(中略)あなたが愛した人びとの絵でうずめてほしい」と自作の詩を朗読した。
ちばさんらのあいさつを聞いた茅野市玉川の専門学校生、沢輝(ひかる)さん(19)は「愛する人を描いた戦没画学生の絵を前に、涙がこぼれた。日本を良くすることが、私たちの役割だと気づいた」と話した。また社会科教諭を目指し勉強中の伊那市長谷、片山早菜子さん(19)は「(戦没画学生は)戦争のため学生であることをやめた。自由に勉強できる身として、やりたいことをやりとげる大人になりたい」と決意を述べた。
同館の成人式は、「美しい新緑の中で、愛について考える機会を若者に」(窪島館主)と、2003年から毎年4月に参加希望者を全国から募集して開いている。