旧ソ連抑留:北朝鮮などで死亡2130人…日本人名簿公開

毎日新聞 2015年04月30日 19時46分(最終更新 05月01日 00時36分)

書き写し持ち帰った名簿と今回の名簿を照合する山本三郎さん=青島顕撮影
書き写し持ち帰った名簿と今回の名簿を照合する山本三郎さん=青島顕撮影

 平壌郊外の三合里収容所では、シベリアなどでの強制労働で体調を崩した人たちが移送され、栄養失調やコレラ、赤痢などの伝染病で1200人を超える死者が出たという。東京都練馬区の山本三郎さん(91)は1947年に帰国した際、死者名簿を仲間と手分けして筆記し、計859人分を持ち帰った。その中に、三合里から興南港に移動中に亡くなった13人が記録されている。しかし今回の名簿に該当する名前は見当たらず、山本さんは「ないもんだなあ」と肩を落とした。

 今回の名簿には「フクダマサジ」さんの名前がある。岩手県花巻市の福田建彦さん(71)は父正志(まさし)さん(当時38歳)が三合里で亡くなったと聞いていた。名簿によると死亡したのは47年1月で、伝えられている死亡日と1〜2カ月ずれている。「しっかりとした資料があるのならば知りたい」と今後の調査に期待する。

 富田武・成蹊大名誉教授(日ソ関係史)は「名簿公開は抑留全体の解明への一歩に過ぎない。シベリア特別措置法は抑留の実態解明を求めている。ロシア側は全ての抑留関係の文書を日本側に提供すべきだし、日本政府も求めていくべきだ」と話している。【青島顕】

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