旧ソ連抑留:北朝鮮などで死亡2130人…日本人名簿公開

毎日新聞 2015年04月30日 19時46分(最終更新 05月01日 00時36分)

書き写し持ち帰った名簿と今回の名簿を照合する山本三郎さん=青島顕撮影
書き写し持ち帰った名簿と今回の名簿を照合する山本三郎さん=青島顕撮影

 厚生労働省は30日、第二次世界大戦後に旧ソ連によって抑留され、朝鮮半島北部の興南(現北朝鮮)や中国東北部などで死亡した日本人2130人の名簿を公表した。これまではシベリアなど旧ソ連やモンゴルでの抑留中の死亡者名簿を公表しており、それ以外の地域の名簿の公表は初めて。あわせてシベリア地域などの死者8593人の名簿も追加公表した。同省のウェブサイトで閲覧できる。

 同省によると、今回公開するのは1997年から2015年2月までにロシア政府などから提供された名簿。興南や中国東北部の大連に開設した「本国送還収容所」の名簿などが含まれる。地域別の内訳は、興南地域の死亡者が1853人▽大連地域が178人▽元山地域が11人▽樺太地域などが88人。興南地域の死亡者のうち身元が特定できた261人については名前の漢字表記や出身地も公表している。シベリア、モンゴル地域の追加分は8593人。

 同省は1991年以降、ロシア政府などから延べ5万人を超える抑留死亡者の名簿を入手。日本語に翻訳し、旧日本軍から引き継いだ資料と照合した上で公開していた。これまで公開した名簿は約4万2000人分で、遺族が見つかった場合は資料を提供している。これまではシベリア地域の死亡者の身元特定を優先し、その他の地域は遺族からの問い合わせに対して情報を提供してきた。

 今回の名簿の公開について同省は「提供する情報の正確性に重きを置いていたが、遺族の高齢化が進んでいることを踏まえ、迅速性が求められると考えた」としている。名簿に関する問い合わせは同省社会・援護局援護・業務課調査資料室(03・3595・2465)。【金秀蓮】

 ◇名簿、まだごく一部

 朝鮮半島北部で死亡した日本人について旧ソ連側の記録した名簿がまとまった形で公表されるのは初めてだ。しかし厚生労働省によると、戦中・戦後の朝鮮半島北部での日本人死者は軍人、軍属、民間人を合わせて3万4600人に上る。うち軍人、軍属の収容所での死者だけでも1万人前後とされる。今回の名簿は一部に過ぎない。

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