原爆:証言に聴き入る米の若者…被爆者が大学で講演

毎日新聞 2015年04月30日 23時57分(最終更新 05月01日 00時32分)

花垣さん(右)から折り紙のハトを贈られ、笑顔を見せるブライス・ウォーカーさん=米ニューヨークで2015年4月29日、吉村周平撮影
花垣さん(右)から折り紙のハトを贈られ、笑顔を見せるブライス・ウォーカーさん=米ニューヨークで2015年4月29日、吉村周平撮影

 【ニューヨーク吉村周平】米ニューヨーク郊外にあるマーシー大学が29日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて渡米した被爆者を招いて講演会を開き、小学生から大学生まで若者約140人が聴き入った。大学側は「原爆は日本の歴史でもあり、米国の歴史でもある。若い世代にしっかり伝えていくべきだ」と語る。

 マーシー大は昨年から日米の各財団の支援を受けて「ティーチ・ジャパン・プロジェクト」を実施。現地の小中学校教員を対象とした日米相互理解のプロジェクト。教育を通じ日本の文化や歴史を広げるのが狙いだ。

 この日、広島で被爆した花垣ルミさん(75)=京都市=の講演会が開かれた。花垣さんは「米国で原爆がこんなに関心を持たれるとは思わなかった。嫌な記憶でもあり証言は好きではないが、やったかいがあった」と目を細めた。

 証言を聞いたブライス・ウォーカーさん(12)は「(花垣さんが)ショックのあまり記憶を失ったという話に驚いた。自分にも起こり得ると思うと、今生きていることに感謝したい」と話した。ポール・ダカさん(20)は原爆投下について「道徳的にすべきではなかったが、米露の覇権争いの側面があったのでは。それでも罪のない人が犠牲になりすぎる。何があっても核兵器は使ってはだめだ」と話した。

 会議に合わせて多くの被爆者が渡米しているが、米国や海外メディアは多くを報じていない。

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