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 安倍晋三首相が安全保障関連法案について、米議会での演説で「この夏までに成就させる」と表明したことに対し、野党は30日、一斉に反発した。内閣が法案を閣議決定しておらず、その全容が明らかでないのに成立前提のような発言をしただけに「国会軽視だ」「三権分立に関わる問題だ」と指摘。野党の対応次第では、与党が5月下旬とみる審議の開始が遅れる可能性もある。

 民主党の岡田克也代表は30日、「法案提出すらされていない段階で、これほどの重要法案の成立時期を外国で約束するなど前代未聞。国民無視、国会軽視、ここに極まれりだ」とする談話を発表。枝野幸男幹事長は「憲法の根本原理の権力分立にかかわる問題だ。相当厳しく対峙(たいじ)したい」とも語った。

 社民党の吉田忠智党首も「立法府を無視している。国民が国家権力を縛る立憲主義を否定する問題発言だ」と指摘。共産党の山下芳生書記局長は、首相が成立時期に言及したことについて、「じっくり時間をかければ、国民の中で反対世論が多数になるのを恐れての焦りだ」と批判した。