(2015年4月29日 英FT.com)

ホワイトハウス公式夕食会、安倍首相がジョークで笑わす

米ホワイトハウスでの公式夕食会へ向かうバラク・オバマ大統領夫妻と安倍晋三首相夫妻〔AFPBB News

 外国首脳の演説に関して言えば、安倍晋三首相のそれは興奮を呼ぶほどではなかった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は演説の1段落ごとに、安倍氏の演説全体よりも多くの拍手喝采を浴びた。だが、安倍氏の目標の方が成功する確率が高い。

 安倍氏の演説――日本の指導者が米議会上下両院合同会議で演説したのは、これが初めて――には、2つの明確な狙いがあった。

 1つは米国のアジアへの軍事的リバランスを激賞すること。2つ目は環太平洋経済連携協定(TPP)締結の可能性を高めることだ。

 安倍氏が語ったことから判断すると、軍事的な側面の方が大きな前進を遂げている。同氏はバラク・オバマ大統領の「アジアへのピボット」に対して、アジアの指導者としては最も力強い支持を表明した。

貿易障壁撤廃の約束を期待していた米議員は失望

 安倍氏は「中国」や「封じ込め」といった言葉を使わなかったが、台頭する中国に対する日米のヘッジを強化することが同氏の暗黙のテーマだった。だが、それがどう達成されるかという軍事的な詳細については、はるかに具体的に語った。

 懐疑的な米国議員のうち、米国産の牛肉やコメ、自動車に対する障壁の撤廃について日本から詳細な確約を得ることを望んでいた人々は、失望しただろう。安倍氏は、同氏とオバマ氏が4月28日にホワイトハウスでの共同記者会見で使った曖昧な約束に何も加えることはなかった。