[PR]

 米ニューヨークで開かれている核不拡散条約(NPT)再検討会議のサブイベントとして、広島県が29日に「核兵器の非人道性と法的枠組み」と題したパネルディスカッションを国連本部で催した。松井一実(かずみ)・広島市長は「核兵器禁止条約締結への交渉を始めるよう訴える」「核抑止に基づく安全保障体制を脱却し、より安定した平和の基礎作りが不可欠」と語った。

 アンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表、核兵器の法的禁止をめざす「誓い」への賛同をNPT加盟国に求めるオーストリアのアレクサンダー・クメント軍縮大使らも参加。クメント氏は昨夏に広島と長崎で被爆者に会ったことに触れて「危険を防ぐ唯一の方法は核兵器の完全廃絶」とした。湯崎英彦知事は「全廃と役割低減に核保有国と非保有国が共に取り組まなければならない」と述べた。

 一方、米政府も「核軍縮に向けた米国の努力に関する報告」としたサブイベントを開催。オバマ政権で核軍縮・不拡散政策を担うゴットメラー国務次官は他の核保有国と協力して核軍縮に取り組んでいると説明。核の非人道性を「深く理解している」と述べつつ、オーストリアの「誓い」には反対の立場を示した。(ニューヨーク=大隈崇、金成隆一)