熊井洋美
2015年4月30日12時28分
福島第一原発の汚染水対策で建屋地下を氷の壁で囲む「凍土壁」の計画で、東京電力は30日、試験凍結を始めた。正午から凍結のスイッチを順次入れ始めた。昨年6月の着工以来、実際に凍結させるのは初めて。周囲に配管があるなど凍結が難しい18カ所について効果を調べ、本格的な凍結を目指すが、時期は見通せない状況だ。
凍土壁は、1~4号機の周囲の地盤を凍らせ、地下水が流れ込むのを防ぐ計画。地下30メートルに及ぶ管を1メートル間隔で打ち込み、零下30度程度の液体を巡らせて総延長約1500メートルの壁をつくる。今回凍らせるのは合計約60メートル分で、山側の18カ所58本。周囲の温度や地下水位の変化を確認する。
当初は3月末までに全体の凍結を始める計画だった。しかし、海側の準備作業が難航しているうえ、1月の作業員死亡事故を受けた安全点検で工事が一時中断するなど工程が遅れていた。原子力規制委員会からも慎重な検討を求める声が出たことから、試験的に凍結させることにした。
凍土壁の技術はトンネル工事などで使われるが、これだけ大規模なのは異例。試験凍結では、周囲に構造物がある場所や地下水の流量が多い場所がきちんと凍るかを数週間程度かけ確かめる。東電は、5月半ばから効果について公表予定で、規制委の評価を受けたうえで本格的な凍結に入りたい考えだ。(熊井洋美)
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!