京都@C大阪
主審:東城穣
副審:桜井大介、清野裕介
四審:川崎秋仁
このシーンに、大げさでもなくオフサイドのすべてが詰まっていましたので、これはJFAの教則映像として使うべき。
ということで一つ一つ見て行きましょう。

まずフォルランのFKの瞬間。
染谷がちょっと早くオフサイドポジションに出ているかと。
よって彼がプレーに干渉したら反則です。


ただしボールは染谷の上を通過し、GKがパンチング。
染谷はボールに触っていませんので、「プレーへの干渉」は無し。
そのため、ここで問題になるのは「相手競技者への干渉」があったかどうか。
染谷は相手DFのクリアを妨げてるわけでもなく、GKの目線を遮ってるわけでもありません。
ただし。
こないだまとめたように、結構微妙な干渉の仕方でも取られることはございます。
相手競技者への干渉 - とりあえず
今回のも、前回の事例を考えると、主審の判断によっては取られてもおかしくなかったと言えるのではないでしょうか。
ということで、この「染谷はオフサイドポジションにいたが、プレーにも相手競技者にも干渉していない」という判定は、「議論できる判定ではあるけれど誤審ではない」ということでご理解ください。
続いてのシーンです。

先ほどのこぼれ球を扇原がボレーで狙います。
この時の位置関係が非常に重要。
GKが前に出ているため、「後方から2人目の守備側競技者」が、Xの選手になっています。
「最後方のDF」と間違って覚えていて「磐瀬がオフサイドライン」とか思ってる方はいませんよね!?
と言うことで、この瞬間に山下とパブロがオフサイドポジションにいることは覚えておきましょう。

で、この扇原のシュートが直接ゴールマウスに向かいますが、磐瀬がライン上でブロック。
これは倒れながら足で止めるという素晴らしいプレー。

そしてこのこぼれ球を山下が詰めに行きますが、これも磐瀬が再びブロックします。
さて!
ここで2つ目のポイント。
「山下が詰めたプレーはオフサイドじゃないのか」
という問題が生じます。
先ほどの画像の通り、扇原がシュートを打った時、山下はオフサイドポジションにいます。
その位置でシュートのこぼれ球を受けたわけで、「オフサイドポジションにいることによって利益を得る」という項目に該当するはず…
オフサイド新解釈 - とりあえず
磐瀬は十分な距離のあるボールに対して、その方向に自ら体を動かしています。
よってこのこぼれ球は、単に「当たって方向が変わったボール」というわけでなく、「意図的なプレー」をもってクリアしようとしたボールと考えられるでしょう。
DFの意図的なプレーは、その結果が成功しようとしまいと、攻撃側が利益を得ることは反則になりません。
よって、このボールで利益を得た山下はセーフ…
と思っていたのですが、これは「意図的なセーブ」であると言うのが現在の見解。
多摩サッカー協会の通達を御覧ください。
という解釈なんですねー。
セーブという表現は、GK以外による行為も含まれるわけです。
参考:Deliberate save - Offside Explained
よって、磐瀬のプレーは「意図的なプレー」であるけど「意図的なセーブ」ということで、新解釈の適用外。
ので、オフサイドポジションにいた選手がそのこぼれ球によって利益を得た場合、オフサイドの反則が適用されるべきであります。
ゆえに、ここで「誤審があった」と言わざるを得ません。
そのため、本来ならこのオフサイドを持って、ここでプレーが終了となるはずでした。
ただ、実際には続いてしまい…

再びこのこぼれ球を染谷が押し込もうとして、最終的に磐瀬は手ではたき落としてしまい、ハンドリング+一発退場となります。
念のため、「染谷はオフサイドでなかったか」という点も確認しましょう。

山下がプレーした瞬間、後方から2番目の競技者よりもボールが前に出ています。
よって、この時は「ボールがオフサイドライン」。
そのため、染谷はオフサイドポジションにいませんので、プレーしても当然反則ではありません。

で、この染谷のシュートを磐瀬が手ではたいた瞬間。
東城主審は良い位置で見極めておられますね。
そして、そのこぼれ球をさらに詰められるセレッソ側の選手がいないということも考慮して、すぐに笛。

「手による得点の阻止」ということで、レッドカードを直ちに用意し、PKを示してから磐瀬に退場を命じます。
この辺の判定、手続きに問題はありません。
この後、京都側がA1桜井さんに何か確認を求めてますが、おそらく最初の「染谷がオフサイドでしょ!」という内容だったかと。
しかしそこに関しての判定は(多少幅があるとは言え)問題ないと思います。
ただ、その後の山下が詰めたプレー。
こちらは、磐瀬の「意図的なセーブ」によりこぼれたものを、山下が「オフサイドポジションにいることで利益を得た」わけで、覆る要素はあったかと…
そこでオフサイドとなれば、その後の磐瀬のハンドも退場もなかったことになるので、これは非常に大きな判定でありました。
それにしてもこのシーン、「正しいオフサイドライン」「プレーに干渉」「相手競技者に干渉」「利益を得る」「新解釈」「意図的なプレー」「意図的なセーブ」と、オフサイドに関わるすべての要素が含まれていて、本当に難解な判定であります。
正直これで本当に正解か自信はないのですが、誤審だったとしたら残念。
「意図的なセーブ」がなければ、ものすごく良いジャッジだったのに、本当に紙一重ですね…
いやー、オフサイド難しい。
何回わかったつもりになっても、結局わかってないw
追記。
その後新情報とか、自分の中で気になった点も出てきて、「必ずしも誤審とは言えない」という気がしてきましたw
明日改めてフォロー記事書くので、今日のところは前提知識としてお納めください。。。
主審:東城穣
副審:桜井大介、清野裕介
四審:川崎秋仁
このシーンに、大げさでもなくオフサイドのすべてが詰まっていましたので、これはJFAの教則映像として使うべき。
ということで一つ一つ見て行きましょう。
まずフォルランのFKの瞬間。
染谷がちょっと早くオフサイドポジションに出ているかと。
よって彼がプレーに干渉したら反則です。
ただしボールは染谷の上を通過し、GKがパンチング。
染谷はボールに触っていませんので、「プレーへの干渉」は無し。
そのため、ここで問題になるのは「相手競技者への干渉」があったかどうか。
“相手競技者に干渉する”とは、明らかに相手競技者の視線を遮る、またはボールへ向う相手競技者にチャレンジすることによって、相手競技者がボールをプレーするまたはプレーする可能性を妨げることを意味する。個人的な第一感としては「相手競技者への干渉はない」というもの。
染谷は相手DFのクリアを妨げてるわけでもなく、GKの目線を遮ってるわけでもありません。
ただし。
こないだまとめたように、結構微妙な干渉の仕方でも取られることはございます。
相手競技者への干渉 - とりあえず
今回のも、前回の事例を考えると、主審の判断によっては取られてもおかしくなかったと言えるのではないでしょうか。
ということで、この「染谷はオフサイドポジションにいたが、プレーにも相手競技者にも干渉していない」という判定は、「議論できる判定ではあるけれど誤審ではない」ということでご理解ください。
続いてのシーンです。
先ほどのこぼれ球を扇原がボレーで狙います。
この時の位置関係が非常に重要。
GKが前に出ているため、「後方から2人目の守備側競技者」が、Xの選手になっています。
「最後方のDF」と間違って覚えていて「磐瀬がオフサイドライン」とか思ってる方はいませんよね!?
と言うことで、この瞬間に山下とパブロがオフサイドポジションにいることは覚えておきましょう。
で、この扇原のシュートが直接ゴールマウスに向かいますが、磐瀬がライン上でブロック。
これは倒れながら足で止めるという素晴らしいプレー。
そしてこのこぼれ球を山下が詰めに行きますが、これも磐瀬が再びブロックします。
さて!
ここで2つ目のポイント。
「山下が詰めたプレーはオフサイドじゃないのか」
という問題が生じます。
先ほどの画像の通り、扇原がシュートを打った時、山下はオフサイドポジションにいます。
その位置でシュートのこぼれ球を受けたわけで、「オフサイドポジションにいることによって利益を得る」という項目に該当するはず…
“その位置にいることによって利益を得る”とは、次のようにボールをプレーすることを意味する。ただし、ここで新解釈の要素が加わってくるので、非常に厄介です。
(ⅰ) ゴールポストやクロスバー、または相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。
(ⅱ)相手競技者が意図的にセーブすることで、はね返った、方向が変わってきた、またはプレーしたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。
オフサイド新解釈 - とりあえず
相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない。ここで問題になってくるのが、磐瀬のプレーが「意図的なプレー」か「意図的なセーブ」かという点。
磐瀬は十分な距離のあるボールに対して、その方向に自ら体を動かしています。
よってこのこぼれ球は、単に「当たって方向が変わったボール」というわけでなく、「意図的なプレー」をもってクリアしようとしたボールと考えられるでしょう。
DFの意図的なプレーは、その結果が成功しようとしまいと、攻撃側が利益を得ることは反則になりません。
よって、このボールで利益を得た山下はセーフ…
と思っていたのですが、これは「意図的なセーブ」であると言うのが現在の見解。
多摩サッカー協会の通達を御覧ください。
「(意図的に)セーブする」(p108,114,115)は今回初めて競技規則で用いられた表現ですが、守備側競技者(GKを含む)の、ボールがゴールに向かうのを防ぐあるいは防ごうとするプレーと理解して下さい。図11(p115)も新たな例として加えられました。「ゴールに向かうボールを防ぐ行為は、DFによるものもセーブとする」
この「セーブする」場合とは異なり、ゴールに向かっていないボールを守備側競技者がプレーした時には、その結果が守備側競技者の思い通りにはならなかったとしてもプレーされたボールはオフサイドの対象とはならず、オフサイドポジションにいた攻撃側競技者もプレーをすることができます。
という解釈なんですねー。
セーブという表現は、GK以外による行為も含まれるわけです。
参考:Deliberate save - Offside Explained
よって、磐瀬のプレーは「意図的なプレー」であるけど「意図的なセーブ」ということで、新解釈の適用外。
ので、オフサイドポジションにいた選手がそのこぼれ球によって利益を得た場合、オフサイドの反則が適用されるべきであります。
ゆえに、ここで「誤審があった」と言わざるを得ません。
そのため、本来ならこのオフサイドを持って、ここでプレーが終了となるはずでした。
ただ、実際には続いてしまい…
再びこのこぼれ球を染谷が押し込もうとして、最終的に磐瀬は手ではたき落としてしまい、ハンドリング+一発退場となります。
念のため、「染谷はオフサイドでなかったか」という点も確認しましょう。
山下がプレーした瞬間、後方から2番目の競技者よりもボールが前に出ています。
よって、この時は「ボールがオフサイドライン」。
そのため、染谷はオフサイドポジションにいませんので、プレーしても当然反則ではありません。
で、この染谷のシュートを磐瀬が手ではたいた瞬間。
東城主審は良い位置で見極めておられますね。
そして、そのこぼれ球をさらに詰められるセレッソ側の選手がいないということも考慮して、すぐに笛。
「手による得点の阻止」ということで、レッドカードを直ちに用意し、PKを示してから磐瀬に退場を命じます。
この辺の判定、手続きに問題はありません。
この後、京都側がA1桜井さんに何か確認を求めてますが、おそらく最初の「染谷がオフサイドでしょ!」という内容だったかと。
しかしそこに関しての判定は(多少幅があるとは言え)問題ないと思います。
ただ、その後の山下が詰めたプレー。
こちらは、磐瀬の「意図的なセーブ」によりこぼれたものを、山下が「オフサイドポジションにいることで利益を得た」わけで、覆る要素はあったかと…
そこでオフサイドとなれば、その後の磐瀬のハンドも退場もなかったことになるので、これは非常に大きな判定でありました。
それにしてもこのシーン、「正しいオフサイドライン」「プレーに干渉」「相手競技者に干渉」「利益を得る」「新解釈」「意図的なプレー」「意図的なセーブ」と、オフサイドに関わるすべての要素が含まれていて、本当に難解な判定であります。
正直これで本当に正解か自信はないのですが、誤審だったとしたら残念。
「意図的なセーブ」がなければ、ものすごく良いジャッジだったのに、本当に紙一重ですね…
いやー、オフサイド難しい。
何回わかったつもりになっても、結局わかってないw
追記。
その後新情報とか、自分の中で気になった点も出てきて、「必ずしも誤審とは言えない」という気がしてきましたw
明日改めてフォロー記事書くので、今日のところは前提知識としてお納めください。。。
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